Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries

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■ 計画研究 A01 時間反転対称性を破る超伝導体の新奇界面現象

本研究計画「時間反転対称性を破る超伝導体の新奇界面現象」の目的は、電子のスピンや軌道角運動量の活性によって時間反転対称性が破れた超伝導体のバルク物性の理解を極め、その界面や表面で顕在化する新奇な量子現象を開拓することである。具体的には研究代表者らが発見し、スピン三重項超伝導体の実験的証拠の揃ったルテニウム酸化物を舞台とする研究、また従来型の超伝導体と強磁性体とのハイブリッド構造体を舞台とする研究を展開する。

前者ではSr2RuO4自体の時間反転対称性の破れた「カイラル超伝導状態」を活用し、微細加工技術を駆使して、常伝導金属との接合界面、常磁性や強磁性金属との共晶界面、微小結晶表面などに現れるスピン三重項超伝導特有の現象を探求する。また後者では、強磁性半導体を用いて、微細加工技術や強磁性の高制御性を生かし、強磁性体中に誘起される超伝導位相の空間変調や、強磁性体の時間反転対称性の破れを反映した超伝導状態を探索する。また、これらに共通するスピン三重項電子対の界面現象を理論的に解析する。連携研究者は、微細加工技術の供与、超伝導/強磁性接合の理論の構築、核磁気共鳴(NMR)測定設備の提供をとおして計画研究に寄与する。

これらの新奇現象の多くは、トポロジカルに特徴づけられた状態に起因し、本領域の研究者がその学理構築に寄与してきた、スピン超流動、奇周波数ペアリング、カイラルエッジ流などの新概念(D01)と深く関わっている。これらの概念は、多様な系の多彩な現象にも共通するため、電荷をもたないスピン三重項超流体(B01班)、空間の反転対称性を破る系での超伝導(C01班)との研究連携も密接に行ない、トポロジカル量子現象の新学術領域構築に寄与する。

□ 公募研究詳細A01, D02
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■ 計画研究 B01 スピン三重項超流動体の新奇界面現象

本研究計画「スピン三重項超流動体の新奇界面現象」の目的は、内部自由度の大きなスピン三重項p波超流動3Heの表面や界面における新奇量子現象の探求およびその実証にある。まず超流動3He-A相において、主に回転冷凍機中でのNMRにより、細い円筒容器内の折り目構造(テクスチャ)の決定とその応答から、長年の未解決課題である固有軌道角運動量有無の決着を図る。同時にその理論的意義を考察し、トポロジカル量子現象としての関連性を明らかにする。また、超流動3He-B相において、横波超音波分光法によって、マヨラナ型励起であることを示した界面アンドレーエフ束縛状態の特異な物性を、実験的及び理論的に明らかにする。さらに、狭い隙間を持つ平行平板内部空間での磁気相図の決定とエッジ流の探索を行う。制限空間内での超流動3Heの表面状態は、A01班のカイラル超伝導のエッジ状態、C01班のNCS超伝導体やトポロジカル絶縁体の表面状態と類似した数理構造を持つことが知られる。したがって、これらの班との連携およびトポロジカル凝縮体としての理論展開を含めて研究を推進する。さらにD01班で予言された半整数量子渦や、特異渦の芯に局在すると予想されるマヨラナ型準粒子、またエアロジェル中での奇周波数超流動状態を、相補的な実験方法であるNMRや音波を用いて検証する。

□ 公募研究詳細B01, D03
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■ 計画研究 C01 空間反転対称性を破る電子流体の新奇現象

本研究計画「空間反転対称性を破る電子流体の新奇現象」の目的は、空間反転対称性の破れと強いスピン軌道相互作用(SOI)が織り成す新奇なトポロジカル量子現象を、(1)空間反転対称性の破れた(Noncentrosymmetric, NCS)超伝導体、(2)電場誘起表面超伝導体、(3)トポロジカル絶縁体、において探究することである。連続的にSOIを制御したNCS超伝導体や、SOIの異なる電場誘起表面超伝導体、及び高品質なトポロジカル絶縁体を作製し、基礎物性を明らかにしながら新奇現象を開拓する。新規物質の詳細を明らかにするため、量子振動などの実験法にバンド計算を組み合わせてフェルミ面を決定するなど、実験と理論が強い連携を図りながら、3つの物質系に共通する普遍的な概念の創出を目指す。さらに「界面」に注目し、A01 班、B01 班との連携を深めて、スピン三重項超伝導体を含む接合における特異な量子状態の実証や、トポロジカル絶縁体と強磁性体・超伝導体との接合で予想されるマヨラナ型準粒子などエキゾチックな素励起の実証を行う。

□ 公募研究詳細C01, D04
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■ 計画研究 D01 トポロジカル凝縮系の理論

本計画研究「トポロジカル凝縮系の理論」の目的は、非自明なエッジ(表面・界面)状態を持つ、超伝導・超流動系、ボーズ・アインシュタイン凝縮体、トポロジカル絶縁体の研究を通じて、これらの異なった物質系に共通した普遍的な物理を探求し、トポロジカル量子現象に関する凝縮系物理学の新概念の構築を目指すことである。理論班は幅広い物質群における多様なトポロジカル物理現象を対象にし、テーマ毎の研究の狙いを以下に示す。

  • 時間反転(空間反転)対称性の破れた超伝導体のエッジ状態の研究・量子現象の解明
  • 新奇なクーパー対(奇周波数クーパー対)の理論
  • トポロジカル絶縁体の電子構造、エッジ(表面)状態の物性の解明
  • トポロジカル絶縁体接合系における新奇現象の探求
  • 内部(スピン)自由度を持ったボーズ・アインシュタイン凝縮体(BEC)におけるトポロジカル励起の研究
  • BECにおける非可換量子渦のダイナミックスとその物性の研究
  • 超流動体における非自明な量子渦の研究
  • トポロジカル量子現象に内在する普遍的概念、数理構造の解明

実験を主体とする他班との研究交流を密接に行いながら、新物理概念構築の中心を担うことにより本新学術領域の飛躍的発展を目指す。

□ 公募研究詳細D02, D03, D04
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