野村 健太郎 (Kentaro Nomura)
- 所属:
- 東北大学(金属材料研究所)准教授
- 研究題目:
- トポロジカル凝縮相における量子交差相関現象
- 領域での役割:
- D01班公募研究代表者
■ 研究室 ■新学術研究紹介 [993KB]
これまでの研究
量子ホール効果をはじめとするトポロジカルに非自明な現象の理論的研究を進めてきました。大学院時代は分数量子ホール系、特に偶数分母の対凝縮量子ホール状態や量子ホール強磁性状態に関する基底状態およびトポロジカル励起の研究を行いました。その後、スピン軌道相互作用のある電子系のスピン伝導、グラフェンやトポロジカル絶縁体に現れるDirac電子の輸送現象を研究しました。特に2次元Dirac電子はアンダーソン局在を示さないこと、および量子ホール状態が低磁場極限まで安定に存在することなどを明らかにしました。
本領域での研究
新学術領域では、トポロジカル絶縁体およびトポロジカル超伝導体の交差相関応答の研究を行います。交差相関とは、例えば電場によって磁化が発生したり、磁場によって電気分極が生成されたりという、異なった対の自由度が交差して応答する現象です。これらはマルチフェロイクスやスピントロニクスの分野で研究されてきましたが、トポロジカル物質では系を特徴づけるトポロジカル不変量が交差相関応答の形で現れ、係数が量子化されます。研究計画D班の連携として、様々な量子交差相関現象を明らかにし、応用へと繋げていきたいと考えております。
その他
トポロジカル絶縁体・超伝導体の研究を通して数学や化学などの研究者との連携を作りたいと考えております。専門外の方々にもトポロジカル量子輸送現象の面白さと有用さを共有できればと思います。
略歴
- 1998年
- 東京理科大学理学部応用物理学科卒業
- 1998年
- 東京大学大学院総合文化研究科入学
- 2000年
- 日本学術振興会特別研究員(DC1)
- 2003年
- 東京大学大学院総合文化研究科 博士号(学術)取得
- 2003年
- テキサス大学オースチン校 日本学術振興会海外特別研究員 博士研究員
- 2007年
- 東北大学大学院理学研究科 助教
- 2010年
- 理化学研究所 基幹研究所研究員
- 2012年
- 東北大学金属材料研究所 准教授、現在に至る
主な受賞
- 2009年
- 第3回日本物理学会若手奨励賞(領域4)
代表論文
"Cross-correlates responses of topological superconductors and superfluids",
K. Nomura, S. Ryu, A. Furusaki, N. Nagaosa
Phys. Rev. Lett. 108, 026802 (2012).
"Surface-Quantized Anomalous Hall Current and Magnetoelectric Effect
in Magnetically Disordered Topological Insulators",
K. Nomura, N. Nagaosa
Phys. Rev. Lett. 106, 166802 (2011).
"Quantum Hall Effect of Massless Dirac Fermions in a Vanishing Magnetic Field",
K. Nomura, S. Ryu, M. Koshino, C. Mudry, and A. Furusaki
Phys. Rev. Lett. 100, 246806 (2008).
"Topological Delocalization of Two-Dimensional Massless Dirac Fermions",
K. Nomura, M. Koshino, and S. Ryu
Phys. Rev. Lett. 99, 146806 (2007).
"Quantum Transport of Massless Dirac Fermions",
K. Nomura, and A. H. MacDonald
Phys. Rev. Lett. 98, 076602 (2007).
"Quantum Hall Ferromagnetism in Graphene",
K. Nomura, and A. H. MacDonald
Phys. Rev. Lett. 96, 256602 (2006).