福田 昭 (Akira Fukuda)
- 所属:
- 兵庫医科大学(医学部物理学教室)准教授
- 研究題目:
- 量子ホール系におけるエッジ状態とトポロジカル励起の研究
- 領域での役割:
- C01班公募研究代表者
■ 研究室 ■新学術研究紹介 [1003KB]
これまでの研究
これまでは、超低温における低次元量子凝縮系の物性に興味を持ち、研究を続けて来ました。京都大学における大学院時代には、絶対零度まで永久気体として存在する偏極原子状水素の2次元超流動の探索を行いました。理化学研究所では、液体ヘリウム上に浮かんだ2次元電子の研究を行いました。
近年は、半導体接合界面における2次元電子系が、強磁場・超低温で起こす特異な量子現象である、「量子ホール効果」に興味を持ち、特に2次元電子系を2枚近接配置した2層系量子ホール効果における量子現象を中心に実験を行っています。最近では、分数量子ホール効果における動的核スピン偏極の研究や、2次元電子系の対象をグラフェンにまで広げて、研究を進めています。
本領域での研究
量子ホール状態、特に2層系量子ホール効果を中心に、電気伝導測定やマイクロ波による共鳴現象の観測を通して、エッジ状態での電子の散乱機構とエッジの動的変化過程、および半量子渦対や磁気ロトン、スカーミオンなどの量子ホール系特有のトポロジカルな励起状態の特定とその生成・消滅機構を解明します。トポロジカル絶縁体の研究グループとは、類似点及び相違点双方に着目して、互いに相補的にさまざまな物理現象を解明できる可能性を楽しみにしています。
略歴
- 1994年
- 京都大学・理学部卒業
- 2002年
- 京都大学・大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士課程修了
- 1996年
- ‐1999年 学振特別研究員(DC1)
- 2002年
- 理化学研究所 基礎科学特別研究員
- 2004年
- 京都大学・低温物質科学研究センター 講師(研究機関研究員)
- 2008年
- 兵庫医科大学・医学部・物理学教室 准教授
- 2012年
- 京都大学・高等教育研究開発推進機構 非常勤講師、現在に至る
代表論文
"Onset temperature for the Kosterlitz-Thouless transition in the vt = 1 bilayer quantum Hall state",
D. Terasawa, A. Fukuda, T. Morikawa, Y. D. Zheng, A. Sawada, and Z. F. Ezawa
Phys. Rev. B 86, 165320 (2012).
"Excitation properties of v = 2/3 bilayer quantum Hall phases investigated by magnetotransport methods",
Yangdong Zheng, Anju Sawada, Zyun F. Ezawa, Tomoki Morikawa, Akira Fukuda, Daiju Terasawa, Shibun Tsuda, and Minh-Hai Nguyen,
Phys. Rev. B 83, 235330 (2011).
"Anisotropy of Magnetoresistance Hysteresis around the v = 2/3 Quantum Hall State in Tilted Magnetic Field",
Kazuki Iwata, Masayuki Morino, Akira Fukuda, Norio Kumada, Zyun F. Ezawa, Yoshiro Hirayama, and Anju Sawada,
J. Phys. Soc. Japan 79, 123701 (2010).
"Activation study of collective excitations of the soliton-lattice phase in the v = 1 double-layer quantum Hall state",
D. Terasawa, S. Kozumi, A. Fukuda, M. Morino, K. Iwata, Z. F. Ezawa, A. Sawada, N. Kumada, and Y. Hirayama,
Phys. Rev. B 81, 073303 (2010).
"Pseudospin Soliton in the v = 1 Bilayer Quantum Hall State",
A. Fukuda, D. Terasawa, M. Morino, K. Iwata, S. Kozumi, N. Kumada, Y. Hirayama, Z. F. Ezawa and A. Sawada,
Phys. Rev. Lett. 100, 016801 (2008).
"Magnetotransport study of the canted antiferromagnetic phase in bilayer v = 2 quantum Hall state",
A. Fukuda, A. Sawada, S. Kozumi, D. Terasawa, Y. Shimoda, Z. F. Ezawa, N. Kumada and Y. Hirayama,
Phys. Rev. B 73, 165304 (2006).