三宅 和正（Kazumasa Miyake)
- 所属：
- 大阪大学（大学院基礎工学研究科・物性物理工学領域）教授
- 専門分野：
- 物性理論
- 研究題目：
- (B01) スピン三重項超流動体の新奇界面現象
- 領域での研究テーマ：
- フェルミ超流動・超伝導の理論の新展開
- 領域での役割：
- B班分担者
■ 研究室
これまでの研究
風変わりな超伝導状態の発現機構について理論的に研究してきました。1980年代には重い電子系など強相関電子系の一群の物質で反強磁性スピンゆらぎを起源とする異方的超伝導状態が実現していることを提唱しました。この10年くらいは、反強磁性スピンゆらぎとは相補的な価数（電荷移動）ゆらぎが重要な役割を演じている系が存在することを理論的に解明しています。また、反強磁性と共存する超伝導相ではスピン波を交換することで奇周波数超伝導が安定化することを示しました。スピン３重項超伝導体Sr2RuO4の発現機構とスピンの集団運動の理論も展開してきました。
本領域での研究
新学術領域では、長年の課題であったカイラル超流動・超伝導状態での固有角運動量の問題に決着をつけることに理論的側面から貢献したいと思います。また、奇周波数超伝導状態の物理的性質について調べるとともに、Sr3Ru2O7のネマティク相に現れる可能性のあるトポロジカル物理の側面を研究する予定です。
その他
物性物理学の精緻で奥深い仕組みに魅せられて研究を進めてきました。複雑な数式の背後にある直観的な描像を抉り出すことを大事にしていきたいと思います。
略歴
- 1967年
- 北海道札幌南高校卒業
- 1971年
- 横浜国立大学工学部応用化学科卒業
- 1976年
- 名古屋大学理学研究科物理学専攻博士課程修了
- 1976年
- 日本学術振興会奨励研究員、名古屋大学理学部助手
- 1987年
- 名古屋大学教養部助教授
- 1991年
- 大阪大学基礎工学部助教授
- 1994年
- 大阪大学基礎工学部教授、現在に至る
代表論文
"Impurity Effect on Frequency Dependent Superconductivity: Odd-Frequency Pairing and Even-Frequency Pairing",
Y. Yoshioka, K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 81, 093702 -1-4 (Sep. 2012).
"Pomeranchuk Instability of Spin-Antisymmetric Channel in Sr3Ru2O7",
Y. Yoshioka, K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 81, 023707-1-4 (Feb. 2012).
"On the Puzzle of Odd-Frequency Superconductivity",
H. Kusunose, Y. Fuseya, K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 80, 054702-1-7 (May. 2011).
"Pairing Mechanism and Anisotropy of d-Vector of Spin-Triplet Superconductor Sr2RuO4",
Y. Yoshioka and K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 78, 074701-1-8 (2009).
"Realization of Odd-Frequency p-Wave Spin-Singlet Superconductivity Coexisting with
Antiferromagnetic Order near Quantum Critical Point",
Y. Fuseya, H. Kohno and K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 72, 2914-2923 (2003).
"Enhanced Valence Fluctuation Caused by f-c Coulomb Interaction in Ce-Based Heavy Electrons: Possible Origin of Pressure-Induced Enhancement of Superconducting Temperature in CeCu2Ge2 and Related Compounds",
Y. Onishi and K. Miyake,
J. Phys. Soc. Jpn. 69, 3955-3964 (2000).
" Model for Unconventional Superconductivity of Sr2RuO4: Effect of Impurity Scattering on
Time-Reversal Breaking Triplet Pairing with Tiny Gap",
K. Miyake and O. Narikiyo,
Phys. Rev. Lett. 83, 1423-1426 (1999).
"Spin-Fluctuation Mediated Even-Parity Pairing in Heavy Fermion Superconductors",
K. Miyake, S. Schmitt-Rink, and C. M. Varma,
Phys. Rev. B 34, 6554-6556 (1986).
