古川 俊輔 (Shunsuke Furukawa) (H23-H24年度)
在任期間： 2011年7月1日〜2012年8月15日
- 所属：
- 東京大学（大学院理学系研究科）研究員
- 専門分野：
- 物性理論
- 研究題目：
- (D01) トポロジカル凝縮系の理論
- 領域での研究テーマ：
- トポロジカル秩序の理論
- 領域での役割：
- D班特任研究員
■ 研究室
これまでの研究
これまで主に、(i)量子スピン系の理論、および、(ii)情 報論を用いた多体系の手法開発、の二つを軸に研究に取り組んできました。大学院時代には、量子スピン液体の持つトポロジカル秩序を理論的にどのように特徴 づけるか、という問題に取り組みました。ポスドクになってからは、共形場理論と量子エンタングルメントの関係、マルチフェロイクス系、フラストレート磁性 体の問題などに取り組みました。
本領域での研究
トポロジカル秩序とその関連現象の理論に取り組みます。トポロジカル秩序の概念は、従来、量子 ホール系や量子磁性体などの固体で議論されてきましたが、近年、冷却原子系もその舞台として注目されています。具体的には、ボゾンの量子ホール状態、多成分フェルミオン・モット絶縁体での量子スピン液体など、冷却原子系独自の研究対象が生まれています。固体と冷却原子系、両方を視野に入れて、新しいトポロ ジカル秩序状態の理論的探索をしていきたいと思います。
その他
量子スピン液体のような、一見、何の秩序も持たない系の背後に、どんな構造が隠れているのか、と いう疑問がきっかけとなって、大学院生時代にトポロジカル秩序の研究を始めました。こういう素朴な疑問の答えを探ることが、基礎的研究につながっていくも のと思います。具体的な系の研究を通しながら、トポロジカル現象の基礎概念を深めていけることが理想です。
略歴
- 2007年
- 東京工業大学大学院 理工学研究科 博士後期過程 修了
- 2007年
- 理化学研究所 基礎科学特別研究員
- 2009年
- トロント大学 物理学科 ポストドクトラル・フェロー
- 2011年
- 東京大学 理学系研究科 研究員、現在に至る
代表論文
"Ferromagnetically coupled dimers on the distorted Shastry-Sutherland lattice: Application to (CuCl)LaNb2O7",
S. Furukawa, T. Dodds, and Y.B. Kim,
Phys. Rev. B 84, 054432 (2011).
"Entanglement entropy between two coupled Tomonaga-Luttinger liquids",
S. Furukawa and Y.B. Kim,
Phys. Rev. B 83, 085112 (2011).
"Chiral order and electromagnetic dynamics in one-dimensional multiferroic cuprates",
S. Furukawa, M. Sato, and S. Onoda,
Phys. Rev. Lett. 105, 257205 (2010).
"Unconventional Neel and dimer orders in a spin-1/2 frustrated ferromagnetic chain with easy-plane anisotropy",
S. Furukawa, M. Sato, and A. Furusaki,
Phys. Rev. B 81, 094430 (2010).
"Mutual information and boson radius in a c=1 critical system in one dimension",
S. Furukawa, V. Pasquier, and J. Shiraishi,
Phys. Rev. Lett. 102, 170602 (2009).
"Topological entanglement entropy in the quantum dimer model on the triangular lattice",
S. Furukawa and G. Misguich,
Phys. Rev. B 75, 214407 (2007).
"Systematic derivation of order parameters through reduced density matrices",
S. Furukawa, G. Misguich, and M. Oshikawa,
Phys. Rev. Lett. 96, 047211 (2006).
