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ニュースになったサイエンス
「マヨラナフェルミ粒子 超流動ヘリウム3表面で実現」
−東工大、広島大のグループ成功− : 野村竜司
- 2011年1月21日 科学新聞 第3324号1面
- 量子計算の基本素子へ応用も
- (記事より部分的に引用)
- 1973年にエットーレ・マヨラナが提唱した“マヨナラフェルミ粒子”、粒子でもあり反粒子でもあるという特異な性質を持つ新素粒子だが、未発見である。ただ、マヨナラフェルミ粒子とみなせる状態が、ある種の超流動体や超伝導体の表面状態として実現し得ることが指摘され、探索が活発になっている。
東京工業大学大学院理工学研究科の奥田雄一教授、野村竜司助教を中心とする実験グループおよび広島大学総合科学研究科の永井克彦名誉教授を中心とする理論グループは、超流動ヘリウム3−B相の高周波横波音響抵抗測定が表面アンドレーエフ束縛状態を感度良く捉え、壁のラフネス(粗さ)小さくするにつれて成長する横波音響抵抗の低エネルギーピークが、マヨナラコーンの存在に起因することを明らかにすることに成功した。
奥田教授の話「超低温で存在する超流動ヘリウム3が高周波で振動する壁に及ぼす力を精密に調べることにより、表面状態がマヨナラフェルミ粒子に特有な運動量とエネルギーの比例関係を持つことを明らかにした。今後は、異方的磁気応答や表面スピン流など、この系固有の新現象を探求していきたい。これらの性質は、超伝導体で提案されている量子計算の基本素子やスピントロニクス素子としての応用とも、密接に関わると期待される」
この成果は、日本物理学会が発行する 英文誌 Journal of the Physical Society of Japan(JPSJ)1月号に掲載された。 - またこの論文に対する市岡優典准教授(岡山大学)による解説 News and Comments が以下に掲載された。