メンバー

メンバープロフィール

高橋 義朗 (Yoshiro Takahashi)

高橋 義朗 (Yoshiro Takahashi)

京都大学(理学研究科) 教授

領域での
研究テーマ
トポロジカルポンピング現象の冷却原子を用いた新展開
領域での役割
C01班公募研究代表者

E-mail : yitk[at]scphys.kyoto-u.ac.jp

これまでの研究

 トポロジカルチャージポンピングという現象は、1983年に、サウレスが一次元格子上の電子気体系においてポテンシャルを周期的に断熱変化させたとき、一周期後の電荷の移動量が量子化され、それがトポロジカル不変量であることを最初に見出したものです。これまでいかなる物理系においても実現されてきませんでした。我々は二つの波長を重ね合わせた光超格子系の制御性の高さを最大限に駆使して、そのパラメーターを断熱的に変化させることで、世界で初めてサウレスの提唱したトポロジカルチャージポンピングを実現することに成功しました。

本領域での研究

 本研究では、これまでの研究をさらに発展させ、トポロジカル量子物質の物理に新たな展開をもたらすことを研究の目的とします。極めて制御性の高い光格子中の冷却原子系を対象とすることにより、他の系では実現困難な物質のトポロジカル状態や現象を実現でき、新たな可能性を創造できると期待されます。具体的には、冷却イッテルビウム(Yb)原子を対象として、その豊富な内部自由度を駆使して、基底状態と準安定状態という有効的なスピン自由度を導入し、トポロジカルスピンポンピングを実現します。また、トポロジカルポンピング現象における、乱れポテンシャルや不純物の影響、および粒子間の相互作用の効果、を詳しく調べる予定です。

略歴

1986年
京都大学理学部 卒業
1988年
京都大学大学院理学研究科物理学専攻 修士課程修了
1990年
京都大学理学部 助手
1994年
京都大学理学部 講師
2000年
京都大学大学院理学研究科 助教授
2007年
京都大学大学院理学研究科 教授

主な受賞

2006年
応用物理学会第7回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)
2008年
第12回久保亮五記念賞
2011年
アメリカ物理学会フェロー表彰
2012年
第16回松尾財団学術賞
2013年
仁科記念賞

代表論文

"Laser spectroscopic probing of coexisting superfluid and insulating states of an atomic Bose- Hubbard system"
S. Kato, K. Inaba, S. Sugawa, K. Shibata, R. Yamamoto, M. Yamashita, Y. Takahashi,
Nature Communications 7, 11341-1-8 (Apr. 2016).
DOI: 10.1038/ncomms11341

"An ytterbium quantum gas microscope with narrow-line laser cooling"
R. Yamamoto, J. Kobayashi, T. Kuno, K. Kato and Y. Takahashi,
New Journal of Physics 18, 023016-1-10 (Feb. 2016).
DOI: 10.1088/1367-2630/18/2/023016

"Feshbach-Resonance-Enhanced Coherent Atom-Molecule Conversion with Ultranarrow Photoassociation Resonance"
S. Taie, S. Watanabe, T. Ichinose and Y. Takahashi,
Physical Review Letters 116, 043202-1-5 (Jan. 2016).
DOI: 10.1103/PhysRevLett.116.043202

"Topological Thouless pumping of ultracold fermions"
S. Nakajima, T. Tomita, S. Taie, T. Ichinose, H. Ozawa, L. Wang, M. Troyer and Y. Takahashi,
Nature Physics 12, 296-300 (Jan. 2016).
DOI: 10.1038/nphys3622

"Coherent driving and freezing of bosonic matter wave in an optical Lieb lattice"
S. Taie, H. Ozawa, T. Ichinose, T. Nishio, S. Nakajima and Y. Takahashi,
Science Advances 20, e1500854-1-7 (Nov. 2015).
DOI: 10.1126/sciadv.1500854