これまでの研究

　グラフェン、トポロジカル絶縁体などのディラック電子系に特有の量子輸送特性を理論的に研究してきました。ディラック電子は、アンダーソン局在からのトポロジカルな保護や量子化異常ホール効果など、通常の電子系とは質的に異なった輸送現象をもたらすことを理論的に明らかにしました。

本領域での研究

　強磁性ワイル半金属の磁性と伝導現象の理論的研究を行います。ワイル半金属はグラフェンの３次元版とみなせる系で、３次元特有のカイラル量子異常などに関連する新奇トポロジカル現象が実現することが期待できます。さらに強磁性秩序を有することからトポロジカルな磁気効果の存在も期待されます。磁化がドメイン構造を有する際の磁気伝導現象、異方的的磁気伝導率、異常ホール効果の乱れ影響を解明します。さらに磁化をゲート電圧で制御する新スピントロニクスデバイスへの応用を理論的に提案します。

略歴

1998年 東京理科大学理学部応用物理学科卒業

2003年 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 博士後期課程終了

2003年 日本学術振興会海外特別研究員(テキサス大学オースチン校)

2005年 テキサス大学オースチン校PD研究員

2007年 東北大学大学院理学研究科 助教

2010年 理化学研究所基幹研究所研究員

2012年 東北大学金属材料研究所 准教授 現在に至る

主な受賞

2009年

第3回日本物理学会若手奨励賞

代表論文

"Charge-Induced Spin Torque in Anomalous Hall Ferromagnets"
K. Nomura, D. Kurebayashi
Phys. Rev. Lett. 115, 127201-1-5 (Sep. 2015).
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.115.127201

"Cross-correlated responses of topological superconductors and superfluids"
K. Nomura, S. Ryu, A. Furusaki, N. Nagaosa
Phys. Rev. Lett. 108, 026802-1-5 (Jan. 2012).
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.108.026802

"Surface-Quantized Anomalous Hall Current and Magnetoelectric Effect in Magnetically Disordered Topological Insulators"
K. Nomura, N. Nagaosa
Phys. Rev. Lett. 106, 166802-1-4 (Apr. 2011).
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.106.166802

"Topological Delocalization of Two-Dimensional Massless Dirac Fermions"
K. Nomura, M. Koshino, and S. Ryu
Phys. Rev. Lett. 99, 146806-1-4 (Oct. 2007).
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.99.146806

"Quantum Hall Ferromagnetism in Graphene"
K. Nomura, A. H. MacDonald
Phys. Rev. Lett. 96, 256602-1-4 (Jun. 2006).
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.96.256602