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2020年1月6日から10日に開催された2020年量子物質の基礎に関する冬の学校 (Fundamentals of Quantum Materials Winter School & Workshop 2020、以下FQM2020)に 当研究室の池田敦俊(D3)が参加し、ポスター発表を行いました。
FQMは学生や若い研究者の教育を目的とし、どうやら毎年アメリカのメリーランド大学で開催されているようです。 2021年も1月11日から15日まで開催されるようです。 2020年のテーマがちょうど超伝導だったので参加しました。 参加費は500ドル(5万円以上)と高いですが、毎日の朝・昼食代(夕食代は懇親会がある2日分だけ)が含まれるので理にかなった値段だと思います。 また、メリーランド大学のお金でそれなりに豪華なホテルに泊まれました。 (500ドルの参加費にホテル代が含まれているのではなく、メリーランド大学がホテル代を払ってくれたという扱いみたいです。) アメリカは物価が高いのでホテル代だけでけっこうすると思います。
ところで、参加費を科研費から支出しようと大学に請求すると、「ホテル代が先方負担なら参加費に含まれる朝食代と夕食代の分は出せない」と言われました。 どうやら京都大学ではホテル代と朝・夕食代はまとめて扱われるらしく、別々での請求はできないらしいです。 ということで、毎日の朝・夕食は物価が高いアメリカで自腹でした。 お金の計算を簡略化して事務員の負担を軽減するためにホテル代と朝・夕食代をまとめているらしいですが、 いままで誰も疑問に思わなかったんですかね? なぜ京大から給料をもらっている事務員の仕事を減らすために学生が自腹を切らないといけないのか納得できません。 ちょうど2月終わりに研究費の扱いについてのアンケートが来たのでめちゃくちゃ文句を書いておきました。 来年度から制度が変わればよいのですが。
愚痴はこのあたりにしてFQMに話を戻します。 FQMは毎日昼過ぎまでは学生向けの講義、夕方は実験装置を使った実習の二部構成になっています。 講義も実習も、研究を始めたばかりの学生にやさしい内容でした。 「修士課程の間に来ておけばもっと勉強になったかな」と思いました。 それでも、私の専門から少し外れた分野の講義はとても勉強になりましたし、 見たことはあっても触ったことがない装置をひととおり扱えたので良い経験になりました。 英語に慣れていない修士学生のために、日本で同じ体験ができれば素晴らしいと思います。 などと参加者の気分で気軽に言いますが、主催者の負担はとんでもないだろうと予想できます。
参加者はほとんどがアメリカの大学から、少しカナダの大学から来ていました。 しかし個人の出身国は様々で、特に中国とインド出身の学生が多かったです。 日本から来たのはおそらく私だけでしたが、アメリカの大学に所属している日本人ポスドクがいらっしゃったのでいくぶん気が楽でした。
最終日の10日には、専門的な内容の小規模な学会が行われました。 内容は専門的ですが、学生向けの講義の続きに行われるということで、司会者は学生からの質問を促していました。 「どんな質問でもいいよ。『それどういう意味なん?』とか『もう一回説明して』でいいから。」と言っていました。 研究会のテーマは最近発見された新しい超伝導体のUTe2(2テルル化ウラン)でした。 この物質は日本でも、しかも固体量子物性研究室の石田さんのグループでも研究されており、私にも少しだけ背景知識がありました。 日本の研究成果も多く紹介されていました。 この学会でアイオワ州立大学の古川先生とお会いして、夕食をごちそうになりました。 ありがとうございました。 その時の写真は古川先生の研究室のサイトに載っています。
私はまず成田空港まで新幹線で行き、そこからデトロイト経由でワシントン・ダレス空港までデルタ航空を利用しました。 大阪から行こうとすると成田やホノルルで8時間くらい乗り継ぎを待たないといけなかったので、新幹線で成田まで行くことにしました。 お金はかかりましたが、1月初めは博士論文の締め切り直前だったので時間を優先しました。 デトロイトを経由する際、成田で預けたスーツケースを一度引き取り、税関を通過した後にもう一度預けなければなりませんでした。 ただしデトロイトで預ける際は荷物用のエスカレーターに載せるだけでした。 成田で説明されましたが、荷物は最終目的地のワシントンまで運ばれるように登録されているようです。
デルタ航空はとても快適でした。 使い捨てのアイマスクやスリッパが配られましたし、機内食はメインだけでなく前菜も2種類か3種類から選べました。 機内食の飲み物で、ジュースとともに「ブラッディー・マリー・ミックス」なるものがありました。 「お、ミックスジュースか?」と思って注文すると、塩と胡椒でがっつり味付けされたトマトスープでした。 スープと思って飲むとまずくはないのですが、のどが渇いたときにジュースだと思って飲むと口がとんでもない拒絶反応を示します。 「これはスープ、これはスープなんだ」と自分に言い聞かせながら飲んでいました。 皆さんもブラッディー・マリーにはご注意ください。 サービスや食事は良かったのですが、日本語の映画はあまりありませんでした。 これは国際便を映画館として利用する筆者にとってはマイナスポイントでした。 それでもいくつかある日本語映画から、トイストーリー4や渡辺謙出演のアメリカ版ゴジラなどを見ました。 アメリカン航空はJALと、ユナイテッド航空はANAと共同運航していますが、デルタ航空は日本の航空会社と提携していないのが 日本語映画が少ない原因かもしれません。 Wikipediaによると、 デルタ航空は日本路線の確保で厳しい状況のようです。 デルタ航空のサービスはとても良かったので、これから日本便が増えるとうれしいです。
ワシントン・ダレス空港とホテルの間は、スーパー・シャトルという乗り合いタクシーを予約していました。 しかし予約から10日後くらいに「やっぱりワシントンでの運行やめるわ」というメールがスーパー・シャトルから送られてきました。 予約を受け付けた分くらいやり遂げてほしいですが、アメリカのサービス業はこの程度なのでしょうね。 仕方ないので空港からホテルまで地下鉄で行きました。 そもそもメリーランド大学はワシントンDCのすぐ近くにあります。 (メリーランド州はワシントンDCの隣で、メリーランド大学はメリーランド州の端にあります。) ワシントンDCは都会なので地下鉄が発達しており、そのうちの一路線がメリーランド大学の近くまで延びています。 と言っても、あくまでワシントンDCから「延びている」だけなので、大学付近に地下鉄が張り巡らされているわけではありません。 最寄り駅の「メリーランド大学前」から実際のメリーランド大学までは徒歩30分くらいありました。
帰りは飛行機が早かったので、Lyftというタクシー配車サービスを利用しました。 早朝の地下鉄がないあたり、やはりアメリカは車社会だと感じました。 日本に帰ってタクシー代を大学に請求すると、「料金に上乗せするチップは研究費で出せない」と言われました。 「チップを渡さないと財布ごと奪われかねませんよ」と言うとようやくチップ分も返ってきました。 ごちゃごちゃ言わずに私が請求した分を返してほしいです。