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超伝導とは?

超伝導とは、「電気抵抗がゼロ」かつ「物質内部の磁束密度がゼロ(マイスナー効果)」になる相転移現象です。 1911年にカマリン・オンネスによって水銀が4.2 K以下で超伝導になることが発見されて以来、数多くの物質が超伝導になることが発見されています。

マイスナー効果
マイスナー効果のイメージ

超伝導になる物質

超伝導と聞いても珍しい現象だと考える人が多いと思いますが、実は数百種類以上の物質が超伝導になります。ただし、超伝導転移温度(Tc)は低いです。身近なものですとアルミニウム(Tc = 1.1 K)や鉛(Tc = 7.2 K)なども超伝導体です。単体元素では磁性体、貴金属(銅や銀など)以外のほとんどの物質が超伝導になります。

最高Tcの歴史

水銀超伝導の発見以来、多くの人がTcの高い物質の探索を行ってきました。しかし、当初は転移温度の上昇はゆっくりとしたものでした。1986年、BednorzとMüllerにより、従来は絶縁体である銅酸化物にキャリアをドープすることで超伝導になることが報告されました。その超伝導転移温度(30 K)は当時発見されていたどの超伝導体よりも高く、数ヶ月後には90 K以上で超伝導を示すYBa2Cu3O7-xが発見され、銅酸化物で高温超伝導探索のフィーバーが巻き起こりました。現在、大気圧下で最高のTcを示す物質はHgBa2Ca2Cu3Oxの133 Kです。さらに、2015年8月、超高圧下(~150 GPa)で硫化水素が203 Kの超伝導を起こすことが報告されました。常温超伝導の実現も現実的なものとなってきています。

Tcの歴史
最高Tcの歴史

超伝導の理論

超伝導は2つの伝導電子が「Cooper対」というペアを組むことで起こると理解されています。電子間には通常クーロン斥力が働きますが、電子-格子間の相互作用によって電子間に引力が発生します。この理論は水銀超伝導の報告から40年以上後の1957年、Bardeen、Cooper、Schriefferによって提唱され、提唱者の頭文字をとってBCS理論と呼ばれています。BCS理論によって多くの実験結果を説明することができます。ただし、近年ではこの理論では説明できない「非従来型超伝導」が発見されており、より包括的な理論が必要となってきています。