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磁性とは?

磁性とは(電子の)スピンが周期的に整列することで現れる性質のことです。起源となる電子の種類や並び方で分類され、種々の物理量に様々な影響を与えます。

磁性の種類

原子サイトに局在している電子が示す磁性を「局在磁性」、伝導電子が示す磁性を「遍歴磁性」と言います。また、スピンの並び方で以下のように分類されます。

強磁性
スピンが同じ方向に揃うものを強磁性と言います。大きなバルク磁化を持ち、磁化曲線にヒステリシス(履歴)を持ちます。
強磁性
強磁性
反強磁性
スピンが互い違いに反平行に揃うものを反強磁性と言います。バルク磁化はほぼゼロになります(マイナスの大きな値を持つわけではありません)。超伝導が示す反磁性と混同しがちなので注意してください。
反強磁性
反強磁性
フェリ磁性
大きさの違うスピンが互いに反平行にそろうものをフェリ磁性と言います。それらの差がバルク磁化になります。
フェリ磁性
フェリ磁性
弱強磁性(傾角反強磁性、canted antiferromagnetism)
反平行から少しずれた反強磁性を弱強磁性や傾角反強磁性と言います。ずれた分がバルク磁化として現れます。
弱強磁性
弱強磁性
非整合反強磁性(incommensulate antiferromagnetism)
格子間隔とずれた周期性を持つ反強磁性を非整合反強磁性と言います。格子間隔と揃っているものを整合反強磁性と言って区別することもあります。 近いものでヘリカル磁性などがありますが、厳密には別物です(だと思っています)。
非整合反強磁性
非整合反強磁性

磁性に関する興味深い現象

磁性に関する興味深い現象の一つに量子臨界現象があります。 圧力、磁場、化学置換などのチューニングパラメーターを変えることで磁気転移温度を変えられます。 これらのパラメーターを用いて連続的に磁気転移温度を抑制し、絶対零度になった点を量子臨界点と呼びます。 量子臨界点近傍では熱ゆらぎによって支配される通常の相転移と異なり、量子力学的相互作用の拮抗による量子ゆらぎが重要になり、種々の物理量に系の特徴を反映した非自明な温度依存性、パラメーター依存性が現れます。また、量子臨界点近傍では超伝導相が現れることがあります。この超伝導は電子間引力に量子ゆらぎが重要となる非従来型超伝導である可能性が高く、重要な研究テーマの一つとなっています。

量子臨界点
量子臨界点のイメージ