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結晶育成は固体物理の研究のスタート地点です。我々は超伝導体を始めとして、新奇な現象を示す新物質の探索を行っています。これまでに例えば銀鉛酸化物超伝導Ag5Pb2O6、巨大磁気抵抗を示す擬二次元導電体PdCoO2、空間反転対称性の破れた超伝導体CaIrSi3、新超伝導体La3Pt4、そして逆ペロブスカイト酸化物における初の超伝導体Sr3-xSnOなどの合成と結晶の純良化を行ってきました。
結晶育成の基本は原料を混ぜて焼くことです。物質が安定化する条件は様々ですので様々な種類の炉を使って最適条件を探索します。また、最近は嫌気性(空気に触れると酸化したり分解したりする)の物質を合成する機会が多く、Arガスを循環させたグローブボックスを用いることもあります。以下で本研究室が主に用いている2つの結晶育成法について紹介します。
フラックスとは物質の融点を下げるために添加する物質のことです。目的物質とフラックスを合わせたものをるつぼの中に入れた後、液体になる温度まで上げ、その後徐冷すると(上手くいけば)単結晶が得られます。フラックスの種類や割合などで得られる単結晶の質や大きさが変わるため、純良な大型の結晶を得るためには試行錯誤が必要です。ちなみにフラックスが目的物質中の元素と同じ場合(例えばSr3-xSnOにたいしてSnフラックス)をセルフフラックス法と呼びます。
フローティングゾーン(FZ)法とは棒状の多結晶試料を加熱融解させ、種結晶となる下部の単結晶と接続した後、全体を下方に移動させ、融液部を冷却して単結晶を得る方法です。るつぼ等を使わないため純良な単結晶を得やすいです。また、大型の試料を得ることもできます。
作成した結晶試料はX線回折装置やラウエ、EDXを用いて評価します。