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磁性と超伝導の相関は固体物理の研究の中でも盛んに研究されているテーマの一つであり、 銅酸化物超伝導体や重い電子系超伝導体などでは反強磁性ゆらぎと超伝導が密接に関係していると考えられています。 このような反強磁性ゆらぎと超伝導の関係は2008年に発見された鉄系超伝導体でも議論されており、 これまでに「122」と呼ばれるグループでは反強磁性の量子臨界ゆらぎと超伝導が強いつながりを持っていることが報告されています。 一方、「1111」と呼ばれるグループではそのような関係がないことが報告されており、「122」グループと「1111」グループでは 反強磁性ゆらぎの役割が異なっているように思われます。
本論文では「1111」グループに属するLaFe(As1-xPx)Oの反強磁性と超伝導の関係を P-NMRを用いて調べ、図の相図を作成しました。
LaFe(As1-xPx)Oはこれまでの「1111」グループの物質と異なり、 P置換に伴い連続的に反強磁性が抑制され、反強磁性転移温度が0KになるP置換量(反強磁性量子臨界点)近傍で超伝導が出現します。 これは「122」グループと同様の特徴であり、本研究から同じグループ内でも物質によって反強磁性ゆらぎの役割が異なることがわかりました。
また、さらなるP置換によって一度消えた反強磁性が再び現れることも明らかにしました。 これはP置換によってバンド構造が大きく変化していることに起因していると考えられ、 LaFe(As1-xPx)Oはバンド構造と反強磁性、バンド構造と超伝導の関係を調べる絶好の系と考えられます。
本研究は浙江大学のCao Wang博士、Guang-Han Cao教授、Zhu-an Xu教授との共同研究です。 この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。 またこの論文はEditors' choiceに選ばれました。preprintはこちら。