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結晶中RuO6八面体の格子歪みに対して敏感に電子状態を変化させることが知られている反強磁性モット絶縁体Ca2RuO4に対し、 正方晶表記での[100]方向と[110]方向という2種類の面内一軸性圧力下で電気抵抗や直流磁化を測定し、いずれの場合にも静水圧の場合より低圧から強磁性金属相を誘起できることを明らかにしました。 この結果は一軸性圧力という手法が電子状態の制御に対して確かに有効であることを示しています。
さらに、面内一軸性圧力の方向によって圧力-温度相図や磁化の強磁性成分の圧力依存性が異なるということも見出しました。 この振舞はRuO6八面体の傾斜歪みに着目し、傾斜軸に対する圧力の方向およびツインドメインの存在を考慮することで理解できます。 圧力方向によって異なる振舞を実現できたことは、一軸性圧力によって誘起できる結晶構造や電子状態はバリエーション豊かであることを示唆しています。
本成果は、香港中文大学のSwee K. Goh助教(当時:ケンブリッジ大学)、久留米工業大学の中村文彦教授(当時:広島大学)との共同研究によるものです。 この結果はPhysical Review B誌に掲載されました。