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空間反転対称性の破れた結晶構造を持つ系における超伝導では、「反対称スピン・軌道相互作用」の存在に起因する様々な新奇現象が理論的に期待されています。このような超伝導現象を実験的に検証するには、強いスピン・軌道相互作用を持つ物質を用いることが望ましいと考えられます。
私達は、結晶構造の空間反転対称性が破れた超伝導体LaNiC2 (図1, Tc = 2.7 K)に着目し、関連する新超伝導体の探索に取り組みました。一般に、スピン・軌道相互作用は原子番号の大きい原子で強くなります。私達はアーク溶解法を用いて、Niを原子番号の大きいPd(パラジウム)やPt(白金、プラチナ)に置換した試料の合成を試みました(図1)。その過程で、私達はLa-Pt-C系の試料に含まれる「La3Pt4」という物質が超伝導を示す(Tc = 0.51 K)ことを発見しました。La3Pt4は結晶構造(図1)に空間反転対称性を有していますが、これまでに超伝導の報告はなされていませんでした。私達は、La3Pt4の交流磁化率、比熱、電気抵抗率の測定を行い、基本的な超伝導物性を報告しました(図2)。
本研究は、筆者が昨年度(2011年度)の卒業研究(課題研究Q4)のテーマとして取り組んだものです。また、本研究成果はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されています。