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UCoAlは低温で磁場を掛けることによって、1次相転移で常磁性相から強磁性相に移るメタ磁性転移を示す物質です。この1次相転移は12 Kの臨界終点(CEP)で途切れ、CEPより高温では常磁性と強磁性が連続的に繋がるクロスオーバーに変わります。このメタ磁性転移の温度-磁場相図は、気体-液体転移の温度-圧力相図によく似ています。気体-液体転移のCEP近傍の振る舞い(臨界現象)は古くから知られているものの、メタ磁性転移の臨界現象はこれまでにほとんど研究報告がありません。
我々は、核磁気共鳴(NMR)を用いてUCoAlを微視的な視点から研究しました。その結果、UCoAlはc軸方向にイジング的な非常に強い異方性を持っており、c軸方向の磁気ゆらぎがCEPで発散することを明確に示しました。また、臨界指数を計算することで、UCoAlのメタ磁性臨界現象が気体-液体転移と同じ3次元イジングユニバーサリティクラスに属することを指摘しました。これは、一見全く異なる磁性系と流体系が同じ物理で理解できることを意味する重要な研究成果です。
この結果はPhysical Review B誌に掲載され、Editor's Suggestionに選ばれました。