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トポロジカル絶縁体・超伝導体とは何らかの方法で定義されたトポロジカル数が非自明な値を持つ絶縁体・超伝導体です。 自明なトポロジカル数を持つもの(空気や真空)との界面ではトポロジカル数を不連続に変化させる必要があるため、特異な界面状態が現れます。この界面状態はトポロジカル数によって保護されているため、不純物に強い性質を示します。考案当初はバルク絶縁体やフルギャップ超伝導体について考えられていましたが、トポロジカル数の定義の仕方を工夫することで半金属やノードを持つ超伝導体などその適用範囲が広がっています(名称はただのトポロジカル何とかではない)。こちらにトポロジカルの簡単な解説があります。
本研究室が取り扱っている物質ではSr2RuO4、UCoGe、Sr3-xSnOなどがトポロジカルな性質を示す物質と考えられています。以下に本研究室が発見した逆ペロブスカイト酸化物における初の超伝導体Sr3-xSnOについて紹介します。
ABO3の化学式で表されるペロブスカイト酸化物は、2種の金属イオンを持つ酸化物としては最もシンプルな構造を持ち、物質科学・地球科学などにおいて非常に重要な物質です。まさに酸化物の代表選手といっても過言ではありません。実はペロブスカイト酸化物には、イオンの価数の正負を逆転させた「兄弟」であるアンチペロブスカイト酸化物という物質群が存在します。このアンチペロブスカイト酸化物はB金属イオンの価数が負になっているなど、通常の酸化物とは異なった性質を持ち、トポロジカル物質である可能性も指摘されています。我々は、アンチペロブスカイト酸化物Sr3-xSnOを合成し、この物質が約5 K以下で超伝導を示すことを発見しました。これは、アンチペロブスカイト酸化物で見つかった初めての超伝導です。また、理論グループとの共同研究で、この物質がトポロジカル超伝導体である可能性を指摘しました。本成果はNature Communications誌に掲載されました。当研究室のD2のM. Oudah君、M2の池田君、M2(フンボルト大学からの交換留学生)J. N. Hausmann君が中心に実験をした仕事で、理論解析については京大の佐藤教授・名古屋大の小林助教らと共同研究をしました。(下図は当該のNature Communications論文より引用。)