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希釈冷凍機や3He冷凍機、断熱消磁冷凍機を用いることで0.1 K付近(ものによって0.05 K)まで測定を行うことができます。以下に簡単な原理を紹介します。
3Heはヘリウムの同位体の一つです。自然に存在するヘリウムはほとんど4Heで、沸点は大気圧下で4.2 K、現実的に到達可能な真空中では1.5 K程度になりますが、3Heの場合、大気圧下で3.2 K、真空中で0.3 K付近まで下がります。それゆえ試料を液体3Heに浸せば、0.3 Kまで冷えます。ただし、3Heは非常に高価(ガス1Lで50万円以上)ですので、ほとんどすべての装置は密閉空間に3Heが入ったデザインになっています。
3Heと4Heを混ぜて冷やすと低温で3Heの濃い相と薄い相に相分離を起こします。この相間で起こる「3Heの蒸発」によって冷却するのが希釈冷凍機です。デザインによって最低到達温度が違いますが、0.01 K以下に出来るものもあります。
磁場中でエントロピーを小さくした状態で、断熱的に磁場をゼロにすることによって冷却する方法です。銅の核スピンを用いるものが有名ですが、相互作用の弱い常磁性塩の電子スピンを用いることで2 K付近から0.1 K付近まで冷やすことが可能です。この装置とPPMSを組み合わせることでほぼ自動で室温から0.1 Kまでの測定が可能になります(ただし、強磁場低温の測定は原理的にできません)。