課題研究Q4(卒業研究)「超伝導と磁性」
- 担当教員
- 前野悦輝(5号館138号室)、石田憲二(5号館140号室)、米澤進吾(5号館139号室)、北川俊作(5号館140号室)
- ティーチング・アシスタント(TA)
- コスティレフ・イワン(前期) / 仲嶺 元輝(後期)
はじめに
本課題研究では、超伝導やスピン秩序など、電子多体系の示す多彩な現象を研究します。
前期はBardeen-Cooper-Schrieffer (BCS) 理論など、超伝導の基礎を理解するためのセミナーが中心です。
後期は各自の研究テーマを選び、スピン三重項超伝導体をはじめ、多様な超伝導や磁気的性質を示す物質を合成し、低温での比熱、電気抵抗率、磁化率、核磁気共鳴(NMR)などの測定をもとに、それらの量子物性の理解をめざします。
いずれの場合でも、各自が「自分だけの卒論テーマ」に沿って研究することが出来ると同時に、
まだ誰にも答えが知られていない部分を含むテーマに挑戦します。
卒業研究の間に、少なくとも一度は「ヤッター!」と歓声をあげるような成果に出会ってもらえるのが目標です。
2018年度スケジュール
2018年6月19日(火) |
小発表会(16時30分開始) |
2018年9月(院試終了後) |
実験スタート |
2018年12月18日(火) |
中間発表会(13時30分開始) |
2019年2月8日(金) |
最終発表会 |
2019年2月8日(金) |
卒業論文第1版提出締切 |
2017年度スケジュール
2017年6月29日(木) |
小発表会 |
2017年9月(院試終了後) |
実験スタート |
2017年12月22日(金) |
中間発表会 |
2018年2月16日(金) |
最終発表会 |
2018年2月12日(月) |
卒業論文第1版提出締切 |
セミナー
毎週のセミナーでは超伝導の教科書を用いて、超伝導の基本的性質、Bardeen-Cooper-Schrieffer (BCS)
理論、Ginzburg-Landau理論等を学びます。量子力学、統計熱力学、電磁気学の知識を総合的に活かした学習になります。
これまでに用いた教科書は以下のとおりです。
2018年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] 上田和夫, "磁性入門" (裳華房, 2011). |
2017年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] 上田和夫, "磁性入門" (裳華房, 2011). |
2016年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
P. G. de Gennes, "Superconductivity of Metals and Alloys" revised ed. (Westview Press, 1999).
[後期] 青木秀夫, "超伝導入門" 第2版 (裳華房, 2009). |
2015年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed.
(Dover Publications, Inc., 1996). |
2014年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed.
(Dover Publications, Inc., 1996). |
2013年度 |
[前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
A. A. Abrikosov, "Fundamentals of the Theory of Metals"
(North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals).
[後期] 家泰弘, "超伝導" (朝倉書店,2005). |
2012年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2011年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2010年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2009年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2008年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2007年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2006年度 |
M. Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed.
(McGraw-Hill, 1975,1996). |
2005年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996). |
2004年度 |
M. Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed.
(McGraw-Hill, 1975,1996). |
2003年度 |
斯波弘行, "固体の電子論" (丸善,1996). |
2002年度 |
A. A. Abrikosov, "Fundamentals of the Theory of Metals"
(North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals). |
2001年度 |
P. G. de Gennes, "Superconductivity of Metals and Alloys"
(Addison-Wesley, 1966,1989). |
実験内容
研究遂行にあたって試料合成にやや重点のあるテーマや、測定装置の製作にやや重点のあるテーマがあります。
最近のテーマの例は、スピン三重項超伝導の研究、トポロジカル絶縁体・超伝導体の研究、
重い電子系物質や鉄系超伝導体関連物質の研究などです。
いずれのテーマでも、超伝導や磁性体の最先端の研究にちょっと触れることができます。
試料合成では、赤外線加熱炉などを用いた単結晶育成、各種合成炉を用いた新物質合成の挑戦などを行います。
測定は液体ヘリウムを用いた低温実験が中心となります。装置としては、0.3 Kまで冷却できるヘリウム3冷凍機や10
mKまで冷却できるヘリウム3-ヘリウム4希釈冷凍機なども用います。
また、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた超高感度磁化測定装置や、ピエゾ素子を用いた試料回転装置などの製作を含むテーマもあります。
そして、電気抵抗率、磁化率、比熱、核磁気共鳴などの測定を通して、超伝導体や磁性体の多彩な量子物性を探ります。
これまでのメンバーと卒業論文題目
2017年度
奥野 友則 |
ナノ粒子の核磁気共鳴 |
金城 克樹 |
Sr2RuO4の核四重極共鳴 |
高須賀 幸恵 |
Ca2RuO4の金属絶縁体転移に関する実験 |
寺尾 奈浦 |
強磁性超伝導体の核磁気共鳴 |
三好 拓人 |
Sr2RuO4接合系の研究 |
2016年度
宍倉 愛 |
Ca2RuO4の金属絶縁体転移に関する実験 |
諏訪 春輝 |
Sr2RuO4の単結晶育成 |
米川 和志 |
ナノ粒子の核磁気共鳴 |
桑山 昂典 |
重い電子系反強磁性体の核四重極共鳴 |
2015年度
浦井 智崇 |
59Co NQRを用いたU6Coの研究 |
岡本 賢志郎 |
単結晶U6Coの59Co-NMRによる研究 |
國枝 正直 |
SrRuO3/Sr2RuO4ハイブリッド構造でのスピン三重項超伝導体の近接効果 |
中田 勝 |
比熱測定セルの開発 |
2014年度
池田 敦俊 |
ルテニウム酸化物へのホールドープ |
高木 亮一 |
磁性体の合成及び磁気秩序の探索 |
田尻 兼悟 |
トポロジカル超伝導体の比熱測定 |
成塚 政裕 |
新奇物質測定にむけて 磁気抵抗測定用3He-4He希釈冷凍機の立ち上げ |
2013年度
杉本 雄亮 |
SrTiO3の電場誘起超伝導への酸素同位体置換効果 |
花岡 洋佑 |
核磁気共鳴法を用いた鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)Oの物性研究 |
真砂 全宏 |
209Bi-NMR/NQRを用いたBa2Bi3の研究 |
安井 勇気 |
Sr2RuO4およびNb-μリングにおけるLittle-Parks振動 |
2012年度
新井 健司 |
IrSe系のNMRを用いた研究 |
竹中 耕平 |
電場誘起超伝導体の研究 |
柴田 大輔 |
Thermal Hall effectの研究 |
杉本 大輔 |
UCoGeのNQRを用いた研究 |
2011年度
川島 裕貴 |
新奇超伝導体探索 |
下田 愛子 |
鉄系超伝導体の合成と評価 |
立石 圭児 |
重い電子系物質の合成 |
宮崎 慈生 |
Sr2RuO4の微小試料の伝導特性 |
2010年度
梶川 知宏 |
Sr2RuO4の熱測定 |
中村 昌幸 |
新奇超伝導体探索 |
前川 紘紀 |
鉄系超伝導体のNMR/NQRを用いた研究 |
2009年度
石川洵 |
三角格子磁性体の輸送特性の研究 |
軽部皓介 |
重い電子系化合物のNMR/NQRを用いた研究 |
柵木厚介 |
鉄系超伝導物質のNMR/NQRを用いた研究 |
松坂純輝 |
新奇超伝導物質探索 |
2008年度
谷口 晴香 |
超伝導近接効果の研究 |
山岸 達哉 |
酸化物に対する電場効果の研究 |
服部 泰佑 |
NMR・NQRによる重い電子系超伝導の研究 |
池田 達哉 |
NMRによるFe系超伝導体の研究 |
2007年度
北川 俊作 |
導電性酸化物の設計と合成 |
中川 竜司 |
Sr2RuO4の超伝導接合の作成と評価 |
岡本 純一 |
NMRによる重い電子系超伝導の研究 |
山本 彗 |
NMRによるFe系超伝導体の研究 |
2006年度
島居 宣博 |
導電性酸化物の電子状態の研究 |
中村 壮智 |
Granular Sr2RuO4におけるスピン三重項超伝導ネットワークの研究 |
林 優二郎 |
NMRによる超伝導ギャップの研究 |
矢野 史朗 |
Sr2RuO4における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性 |
2005年度
小野寺 真吾 |
磁気熱量効果によるスピン三重項超伝導体Sr2RuO4の新しい超伝導相の検出 |
久我 健太郎 |
重い電子系新物質の低温物性研究と超伝導探索 |
中村 秀司 |
Sr2RuO4の単結晶育成の最適化と一軸圧による超伝導転移温度の変化 |
村主 崇行 |
スピンアイスの磁気緩和シミュレーション |
2004年度
大西 高史 |
擬2次元Mott転移系Ca2-xSrxRuO4金属絶縁体転
移点近傍(x=0.2)の物性 |
加納 聖士 |
常磁性塩CMNを用いた断熱消磁冷却 幾何学的フラストレーションを持つ系の測定に向けた熱スイッチとセルの評価 |
橘高 俊一郎 |
Sr2RuO4-Ru共晶体における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性 |
久田 旭彦 |
幾何学的フラストレーション磁性体関係 |
平野 大輔 |
Co-NQRを用いたNaxCoO2·yH2Oの試料依存性の
研究 |
2003年度
鎌田 宗康 |
幾何学的にフラストレートした磁性を持つモット絶縁体と金属絶縁体転移 |
殿村 宏史 |
幾何学的フラストレーション磁性体関係 |
中井 祐介 |
101Ru-NQRから見た不純物としての3K相とSr2RuO4-Ti,
Ca系 |
弓削 達郎 |
パイロクロア酸化物Dy2Ti2O7の残留エントロピーを利用
した磁気冷却 |
山下 真 |
Sr2RuO4-Ru共晶系における3K相の転移温度 |
2002年度
井原 慶彦 |
重い電子系物質YbCu5のCu-NMR-NQR |
佐藤 功 |
SQUIDを用いたSr2RuO4に対するc軸方向への一軸圧力による転移温度の変化の測定実験 |
佐藤 剛 |
LaFe4P12のNMRによる研究 |
森本 隆之 |
3K超伝導体Sr2RuO4-Ru共晶体の同位体効果 |
米澤 進吾 |
Ag5Pb2O6の合成および物性測定 |
2001年度
北川 健太郎 |
交流磁化率によるSr2RuO4の超伝導二段転移の試料依存性 |
坂井 修 |
Pyrochlore型酸化物Dy2Zr2O7の低温物性 |
大屋 雄 |
金属の水素導入における低温物性 |
Tran Thanh Trung |
Angle-Dependent Magnetoresistance Oscillation in
OrganicSuperconductor β-(BDA-TTP)2SbF6 |
矢野 賢太郎 |
パイロクロア酸化物Cd2Re2O7の超伝導 |
2000年度
東中 隆二 |
Pyrochlore型酸化物Dy2Ti2O7の低温物性 |
山田 真弘 |
水素化金属の超伝導 |
吉岡 正樹 |
SQUIDを利用した高感度磁化測定装置による、Sr2RuO4-Ru共晶体の超伝導転移の観測 |
採田 祥治 |
Sr2Ru1-xTixO4の面内・面間電気抵抗率 |
辻 幸秀 |
Al2O3を絶縁体膜とする電場効果ドーピング |
1999年度
鈴木 誠 |
The effects of Coulomb interaction and impurity density to the
localization length in one-dimentional electrons |
柳島 大輝 |
新物質Ln2Ir2O7(Ln=Pr,
Sm) の 'Metallic Spin Ice' 的物性 |
和田 将彦 |
Tc=3Kの超伝導を示す新たなSr2RuO4-Ru
共晶体及び上部臨界磁場の角度依存性 |
久保 拓右 |
SQUIDを用いたマイスナー効果の測定 |
西守 有人 |
PdHxの超伝導 |
1998年度
神谷 聡 |
高導電性ポリアセチレンに対する弱局在の理論の適用 |
出口 和彦 |
SQUIDを利用した高感度磁化率測定装置による(BEDT-TTF)4Hg2.89Br8の
超伝導転移の観測 |
永井 修一 |
Sr2RuO4の超伝導の一軸圧力効果 |
上藤 哲嗣 |
有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2における
Shubnikov-de Haas振動振幅の磁場方向依存性 |
岩本 孝昌 |
不純物効果によるSr2RuO4の磁気秩序の誘起 |
大澤 直樹 |
新層状遷移金属酸化物LnSr2-xLax(Ni, Zn)2RuO8(Ln=Sm,Eu,
Gd) の合成及びその超伝導相の探索 |
1997年度
秋間 崇 |
Sr2RuO4の超伝導パラメーター |
野村 拓司 |
超音波電磁波変換を用いたBi2Sr2CaCu2O8+δに
おける磁束ピン止めの研究 |
深澤 英人 |
Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張 |
南方 雅成 |
Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張 |
安立 裕人 |
角度依存磁気抵抗振動の解析によるSr2RuO4のFermi面の測定 |
仁張 茂樹 |
断熱法比熱測定装置の製作とSr2RuO4の比熱測定 |
1996年度
石原 博史 |
有機超伝導関係 |
金 海永 |
Mott絶縁体Ca2RuO4の置換による金属化の試み |
下城 義朗 |
有機超伝導関係 |
武田 輝久 |
Sr2RuO4のMeissner効果 |