鉄系超伝導体BaFe2As2は様々なドーピングや圧力によって反強磁性が抑制され、超伝導が発現します。我々はAsの一部を等価数のPで置換したBaFe2(As1-xPx)2に対して圧力をかけ、P置換量と圧力という2つのパラメーターを変化させることで超伝導転移温度を支配する本質的なパラメーターを探索しました。図にあるように様々なパラメーターにおける超伝導転移温度は反強磁性量子臨界点との距離θでスケールさせることができます。これは超伝導転移温度がθと密接に関係している、つまり、反強磁性ゆらぎと超伝導が強く相関していることを示しています。
本研究は京大量子凝縮物性研、東大との共同研究です。 この結果はPhys. Rev. B誌にRapid Communicationとして掲載されています。 preprintはこちら。
論文情報
Shunsaku Kitagawa, Takeshi Kawamura, Kenji Ishida, Yuta Mizukami, Shigeru Kasahara, Takasada Shibauchi, Takahito Terashima, and Yuji Matsuda 「Universal relationship between low-energy antiferromagnetic fluctuations and superconductivity in BaFe2(As1-xPx)22」 Phys. Rev. B 100, 060503 (Aug. 2019).