北川俊作

名前

北川 俊作

身分

助教

研究手段

高圧下測定、核磁気共鳴法(NMR)、核四重極共鳴法(NQR)

顔写真

研究紹介のページです。

超伝導体BaTi2Bi2Oにおける電子ネマティック転移の発見

連絡先
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 理学部5号館140
Tel:075-753-3752 (Fax: 075-753-3783)

e-mail: kitagawa.shunsaku.8u + at + kyoto-u.ac.jp

(" + at + "を@に変換してください)

Last updated: Dec. 22, 2018

超伝導体BaTi2Bi2Oにおける電子ネマティック転移の発見

BaTi2Bi2OはBiサイトを他のニクトゲン(As,Sb)に置換することで物性が大きく変わる物質です。BaTi2As2Oは200KでネマティックCDWと呼ばれる相に相転移します。この相転移温度はSb置換によって減少し、Sbエンド(BaTi2Sb2O)では転移温度は約40Kです。Sbエンドではさらに転移温度1.6Kの超伝導が存在しますが、様々な実験からs波超伝導と考えられています。さらに、SbをBi置換するとCDW転移温度は減少して、Bi20%付近で消失します。超伝導転移温度もBi40%程で消失しますが、さらにBi置換すると超伝導が再出現してBaTi2Bi2Oでは超伝導転移温度は4.6 K付近です(図左)。

我々はNMR/NQRスペクトルの測定を行い、BaTi2Bi2Oにおいても45K以下で電子ネマティック秩序が存在することを発見しました(図右)。これはこれまでの測定からは発見されていなかった相転移です。さらに核スピン-格子緩和率の測定ではBiサイトにおいて電子ネマティック転移、超伝導転移に伴う異常が観測されないことを明らかにしました。これはこの物質の電子状態が2次元的なためBiサイトとTiO2面との結合が弱いことから来てると考えられます。

2018年12月のTopicsの図1
図: (左)BaTi2Pn2Oの電子相図。(右)面内異方性パラメータ、イータの温度依存性。

本研究は東大物性研との共同研究です。 この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。 preprintはこちら。 固体量子による解説動画はこちら

論文情報

Shunsaku Kitagawa, Kenji Ishida, Wataru Ishii, Takeshi Yajima, and Zenji Hiroi
Phys. Rev. B 98 220507(R) Dec. 2018