北川俊作

名前

北川 俊作

身分

助教

研究手段

高圧下測定、核磁気共鳴法(NMR)、核四重極共鳴法(NQR)

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研究紹介のページです。

63Cu-NMRによる重い電子系超伝導CeCu2Si2におけるFFLO状態が存在することの証拠を得ました。

連絡先
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e-mail: kitagawa.shunsaku.8u + at + kyoto-u.ac.jp

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Last updated: Oct. 16, 2018

63Cu-NMRによる重い電子系超伝導CeCu2Si2におけるFFLO状態が存在することの証拠

重い電子系超伝導体CeCu2Si2は世界で最初に発見された強相関電子系における超伝導体です。この超伝導体では上部臨界磁場が強く抑制されたパウリリミットが効いた状態が実現しています。(図1)パウリリミットが強く効く超伝導体では上部臨界磁場Hc2近傍でFFLO超伝導状態が出現することが理論的に提唱されていますが、これまでの研究でCeCu2Si2においてFFLO状態を示す結果は得られていませんでした。

われわれはナイトシフト核スピン-格子緩和率1/T1Tの温度依存性を様々な磁場で測定しました(図2)。Hc2より十分小さい磁場(1.43 T)では超伝導転移温度Tc以下で超伝導ギャップが開く影響により1/T1Tが減少します。一方、通常状態では反強磁性ゆらぎの発達に伴い低温に向かって増大します。注目すべき点は、Hc2近傍で1/T1Tがいったん増大した後減少する振る舞いを示す点です。これは最近、有機物超伝導体でも見られた振る舞い[1]でFFLO超伝導状態の存在を示唆する結果となっています。

2018年10月のTopicsの図1
図1: 我々のNMR測定から提案されるCeCu2Si2の超伝導相図。
2018年10月のTopicsの図2
図2: 様々な磁場でのナイトシフトと核スピン-格子緩和率1/T1Tの温度依存性。

本研究はマックスプランク研究所との共同研究です。 この結果はPhys. Rev. Lett.誌に掲載されています。 preprintはこちら。 固体量子による解説動画はこちら

[1] H. Mayaffre et al., Nat. Phys. 10, 928 (2014).

論文情報

Shunsaku Kitagawa, Genki Nakamine, Kenji Ishida, H. S. Jeevan, C. Geibel, and F. Steglich
Phys. Rev. Lett. 121 157004 OCt. 2018