北川俊作

名前

北川 俊作

身分

助教

研究手段

高圧下測定、核磁気共鳴法(NMR)、核四重極共鳴法(NQR)

顔写真

研究紹介のページです。

CeFePOにおけるメタ磁性的ふるまいについて報告しました。

連絡先
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 理学部5号館140
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e-mail: kitagawa.shunsaku.8u + at + kyoto-u.ac.jp

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Last updated: Apr. 1, 2016

CeFePOにおけるメタ磁性的ふるまいとKondo breakdown

メタ磁性とは外部磁場に対して磁化が急激に増加する現象です。 重い電子系では多くの物質でメタ磁性的振る舞いが報告されていますが、 その起源はいまだに解明されていません。

私たちは二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質CeFePOに対する 広い温度(100 mK-100 K)・磁場(0.6T - 14 T)領域における詳細な31P-NMRの結果、この物質がab面方向に4 T程度の磁場(HM)をかけることでメタ磁性的振る舞いを示すことを発見しました(図1)。 重い電子系において面内に磁場をかけた場合のみにメタ磁性的振る舞いが現れる物質はこれまでに報告されておらず、 CeFePOは重い電子系のメタ磁性の起源の解明に大きな進展を与える物質であると考えられます。私たちは今回の31P-NMRとバンド計算の結果から

(1)HM前後でFermi面が低磁場領域の大きなFermi面(4f電子遍歴的)から高磁場領域の鉄系超伝導的Fermi面(4f電子局在的)へ大きく変化すること(図2(c),(d))、

(2)HM近傍で非フェルミ液体的振る舞いが見れること(図2(b))、

(3)他の重い電子系メタ磁性体と磁気的性質や結晶場が大きく違うにも関わらず、 さまざまな物質におけるHMと近藤温度TKや磁化率がピークを示す温度Tmaxが比例関係を持っていること(図3)

ことを明らかにしました。

これらの結果は重い電子系物質におけるメタ磁性が近藤効果と深く結びついていること、Ce系メタ磁性体ではHM付近で近藤効果の消失とFermi面のトポロジーの変化(リフシッツ転移)が同時に起こることを示唆しています。

2011年12月のTopicsの図1
図1 : ナイトシフトから見積もった磁化の磁場依存性。0.1 KにおいてHab ~ 4 Tで急激な磁化の増大がみられる。
2011年12月のTopicsの図2
図2 : 磁場をab面にかけた時の、スピン格子緩和率1/T1Tの温度依存性((a) < 4 T (b) > 4 T)と低温での磁場依存性(c)。HM ~ 4 T付近で1/T1Tが低温まで増大する非フェルミ液体的振る舞いがみれる。(d)1/T1Tから見積もったH-T相図と計算から見積もったFermi面。
2011年12月のTopicsの図3
図3 : Ce系メタ磁性物質におけるHMと近藤温度TKや磁化率がピークを示す温度Tmaxとの関係。

本研究は京都大学の池田浩章氏(バンド計算)、東京工業大学の細野秀雄氏、慶応大学の神原陽一氏(試料作製)との共同研究です。この結果はPhysical Review Letters誌に掲載されています。

論文情報

Shunsaku Kitagawa, Hiroaki Ikeda, Yusuke Nakai, Taisuke Hattori, Kenji Ishida, Youichi Kamihara, Masahiro Hirano and Hideo Hosono
Phys. Rev. Lett. 107 277002 Dec. 2011
cond-mat>arXiv:1111.3749