研究紹介のページです。
LaFeAs(O1-xFx)におけるNMRから見たストライプ型スピン相関と超伝導の関係について報告しました。
e-mail: kitagawa.shunsaku.8u + at + kyoto-u.ac.jp
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鉄系高温超伝導体LaFeAs(O1-xFx)では、母物質がストライプ型反強磁性転移を示し、フッ素ドープによってこの反強磁性転移が抑えられところで超伝導相が現れるため、超伝導と反強磁性との関係に興味が持たれています。私たちの研究グループは、東工大の細野秀雄教授、神原陽一研究員らと共同し、核磁気共鳴法(NMR)を用いて、超伝導と反強磁性との関係を調べています。本研究では75As核のスピン-格子緩和率1/T1の異方性からLaFeAs(O1-xFx)におけるストライプ型スピン相関と超伝導の関係を明らかにしました。
我々はこれまでに核磁気緩和率1/T1がフッ素ドープで大きく変化する一方、超伝導転移温度がフッ素ドープに対してあまり変化していないことから低エネルギー反強磁性ゆらぎと超伝導転移温度の相関が弱いことを報告しています。[1] 本研究では、1/T1の異方性を測定することによって1/T1の温度依存性からだけではわからない短距離のストライプ型スピン相関[図(b)における4つのFeのスピン方向に関する相関]と超伝導の関係を明らかにしました。
図にあるように1/T1の温度依存性はフッ素ドープによって大きく異なります[図(c)上]。しかし、Tcの高いx = 0.07とx = 0.11では常伝導状態の1/T1の異方性[R=(1/T1)H||ab/(1/T1)H||c]が1.5とドープ量によらず共通の値をとります。この異方性Rはx = 0.14でTcの減少[図(a)]とともに小さくなります[図(c)下]。これはx = 0で存在する短距離のストライプ型スピン相関がx = 0.11でも存在し、さらにx = 0.14でTcの急激な低下とともにストライプ型スピン相関も弱くなることを示唆しています。
この結果はPhysical Review B誌に掲載されています。
[1] Y. Nakai et al., New J. Phys. 11, 045004 (2009).