量子サイズ効果の磁場依存性を検証

粒子の直径をナノメートルサイズまで小さくしたナノ粒子では、エネルギーが連続的に存在するバルク物質と違い、エネルギー準位が離散的になることが理論的に予言されています。この効果は量子サイズ効果もしくは提案者の久保亮五先生の名前をとって久保効果と呼ばれています。量子サイズ効果によって様々な物性の変化が期待されることから長年研究されていますが、表面効果との区別や測定手段が限られることからいまだ実験的な証明がなされていませんでした。

最近、私たちのグル-プはNMRを用いて電子状態の粒径依存性を測定し、金属における量子サイズ効果の実証に成功しました。今回、私たちは量子サイズ効果を詳細に調べるために粒径4.6 ナノメートルのプラチナ粒子の電子状態の磁場依存性を測定しました。

低温で見られるギャップ的振る舞いが始まる温度は磁場増加に伴って一旦小さくなりますが、15 Tを境に再び増大します。この振る舞いは量子サイズ効果によるギャップの磁場応答でよく理解できる。興味深いのはこの時のg因子は2でなく、スピン軌道相互作用を考慮したgJ=1.2で説明できるところである。

1/T1Tが増大し始める温度T*の磁場依存性。1/T1Tの値を色で示している

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Article information

Okuno, T; Kinoshita, Y; Matsuzaki, S; Kitagawa, S; Ishida, K; Hirata, M; Sasaki, T; Kusada, K; Kitagawa, H

Magnetic-Field Dependence of Novel Gap Behavior Related to the Quantum-Size Effect Journal Article

In: Journal of the Physical Society of Japan, vol. 89, no. 9, pp. 095002, 2020.

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