大学院生の1日

研究室の大学院生に研究中の「典型的」な1日の流れを書いてもらいました。若干脚色も混ざっているかも??

修士2年生某氏の場合

とある院生の実験をしている1日です。

【9時半】起床。軽い朝食(おにぎりorパン)をとって大学へ向かう。

【10時】大学着。研究室の自分の机に荷物を置いて、とりあえずメールのチェック。一息ついて早速実験にとりかかる。今日は『いろいろな交流磁場の下での交流磁化率の温度依存性』を低温で測定する予定だ。サンプルは前日、3He冷凍機(Heliox)に取り付けておいた。早速、Helioxを液体4Heの入ったベッセルに挿入して冷やすことにする。

【11時】 ベッセルにHeliox挿入完了。Helioxが室温から十分冷えるまで3時間程度時間がかかる。Helioxが冷えるまで、しばらく待機。

【13時】研究室のメンバーで、北部食堂にて昼食をとる。

【14時】測定装置が低温まで冷え、サンプルもよく冷えた状態になる( ~2 K )。この温度で、サンプルをさらに低温(~0.3 K)まで冷やすためのコンデンス作業を30分程度行う。コンデンスの間に交流磁場を作るための交流電流の振幅、周波数、位相等の測定条件をノートに記録。

【15時】いよいよ測定開始。温度を変化させるプログラム(2 K→0.3 K)を走らせて自動測定を行う。温度がサンプルの転移温度に達すると超伝導転移が見え始めた。どのような結果が得られるのか期待感が増してくる。

【16時】測定に異常が起きていないかチェックしたり、他人の実験の様子を観察したりして、のんびり過ごす。

【17時】本日1回目の測定終了。きれいな超伝導転移のデータが得られた。次は印加磁場の大きさを変えて同様の測定を行う。再び冷却するためにコンデンス作業を行う。

【18時】コンデンス終了後、再び自動測定開始。「磁場を変えるとデータはどのように変化するのだろう」と結果を期待しながら、測定が終わるまで待機。その間に取ったばかりのデータをgnuplotで解析する。

【19時】測定は順調にすすんでいる。測定終了までもう1時間程かかりそうなので、研究室のメンバーと北部食堂で夕食をとる。

【20時】食事後、ちょうど測定が終了。今回もきれいなデータがとれた。次の測定にむけて再々度コンデンス。その間に再びデータの解析をする。磁場の違いによって交流磁化率の振る舞いが変化している結果を得た。

【21時】本日3回目の測定開始。さらに印加磁場の大きさを変えて交流磁化率を測定。測定の間に自分の研究関連の論文を読む。今、測定しているサンプルの超伝導性は物理的にはどのように解釈できるのだろう・・・。自分の研究と関連していそうな論文を読んで、その超伝導性のヒントを探す。

【22時】今回、読んだ論文は直接ヒントとなる論文ではなかったようだ。キーワード検索をして新たに参考になりそうな論文をネットで探す。そしていくつか参考になりそうな論文を発見!見つけた論文は、また明日の測定中に読むことにしよう。

【23時】本日3回目の測定が終了。だんだんとデータが揃ってきた。このサンプルの超伝導の磁場依存性が次第に明らかになってくる。そろそろ時間も遅くなってきた。本日最後の測定のプログラムを走らせて帰ることにする。本日最後のコンデンスを行う。

【24時】日付も変わってしまった。コンデンスが終了したところで再び印加磁場の大きさを変えて、測定開始。測定結果を楽しみに帰路につく。

【25時】帰宅後、少しのんびりして就寝。

以上、実験をしている1日でした。

博士2年生○氏の場合

とある院生(博士)の実験をしている1日です。

10時くらいに(研究室のベッドで)起床。実験機器を制御しているパソコンをチェック。 プログラム改良の甲斐があって寝てる間もデータゲットだぜ。

10時半、物理学教室には某所にシャワー室があるので、非常に助かります。

11時くらいに朝飯。外にいくのもめんどいので、買い置きのカップラーメン(今日は沖縄そば)をすする。 その間にメールとニュースのチェック。 海外の研究室に実験結果なんかについてメールを送る。

13時前後、研究室メンバーで昼飯@北部生協へ。最近はデザートにパイナップル(100円)がマイブーム。

データをグラフに打ち出したりしてたら眠くなってちょっとお昼寝。

××時、後輩に「○○さん」と起こされる。なんか実験装置が上手く動かないらしい。 寝ぼけた頭でいろいろ見てみて、よくある通信エラーっぽいので、必殺(?)再起動で解決。

コロキウム発表の準備のため、論文のダウンロード。今はインターネットがあるから楽だけど、20年前とかはどうやって論文とか検索したり手に入れたりしていたんだろうと不思議に思いつつ。

19時前後、夕飯@北部生協。今日は「炒め」にしよう。

測定プログラムが止まっていたので、超伝導マグネットに液体ヘリウムを入れる(トランスファー)。 トランスファーをしつつ、後輩の論文の校正。赤ペンを入れまくる。

測定プログラムを走らせる。明日の朝までみっちり測定をしてもらう。

再びコロキウム発表の準備。しかし、まだ日にちがある(1週間)ような気がするのであまり気が乗らない。 やはり3日前くらいからのラストスパートにかけるしかないか。。 昔は2週間前くらいからあたふたしてたものだが。

25時くらい、少しやる気が出てくる(夜型)。 日にちがあるように感じていたのは何かの錯覚だと思い直し、パワーポイントファイルを作り始める。

27時くらい、眠くなる。寝る。眠いのに耐えられなくなったときに実験室のベッドに倒れこむのは本当に気持ちいい。 ではおやすみなさい。

以上、実験をしている1日でした。(若干フィクション。いつも大学で寝ているわけではありません。たぶん。)

博士1年生A氏の場合

とある院生の実験生活。

【7時半】起床。早朝ランニングに行く。最近は寒くなったので夜じゃなく朝走ったほうが気持ちがいいなぁ。

【9時半】家で一息ついた後に大学に行く。実験室に測定状況を確認した後、居室にてメールをチェック。

【10時】プレプリントサーバーで今日投稿された論文を確認。

【11時】適当なタイミングで条件を変更しながら測定を続ける。

【13時】研究室のメンバーと一緒に北部食堂にて昼食をとる。

【14時】測定の合間の時間は取れたデータを解析しながら、次にどのようなデータをとるか考える。

【16時】一通り取れたデータを見ながら、論文の草稿について考える(書かない)。

【18時】居室をうろうろしながら、暇そうな人と議論(雑談)する。

【19時】研究室のメンバーと北部食堂で夕食をとる。

【21時】机に向かうのに飽きてくる。

【23時】後輩の実験データを見てちょっかいをだした後に帰宅。

【24時】コタツで少し体を休めてから寝る。最近めっきり寒くなった。風邪をひかないように気をつけよう。

以上、実験をしている時の1日でした。

博士2年生B氏の場合

ある大学院生(博士課程)の実験をしている1日です。2018年2月のある日のことです。


8時ごろ起床する。最近は早朝に起きられない。朝食をとって大学へ向かうと、教授、助教の先生は既に研究室にいるようである。地下の実験室の私が扱っている希釈冷凍機は、「高温」の1.6 Kで安定している。 数週間前にこの希釈冷凍機の配管の一部を研究室で交換修理したが、幸いそれ以来異常はない。ただ、昨晩からの測定データはノイズが大きく、さらなる積算が必要と判断し、そのまま放置する。

8時55分ごろ、デュワー(低温装置で、希釈冷凍機本体などを冷やす)に液体ヘリウムを移送(トランスファー)し始める。このデュワーはこの希釈冷凍機を使うと2.5日ごとにトランスファーが必要なので、次は夜間に行うのであろうか。 その間に希釈冷凍機の「窒素トラップ」と測定回路系の「窒素プリアンプ」にそれぞれ液体窒素を注ぐ。9時25分ごろ、ヘリウムのトランスファーが終了する。欲張って多めに入れたので、約42 Lを消費する。 9時50分ごろ、ヘリウムの残量の少ないベッセル(運搬容器)を液化棟に運び入れる。

10時ごろに居室に戻る。数名の院生・学部生が出席している。最近はこの時間帯でも多くのメンバーが来ており、感心する。 席に着いて、メールを確認する。今日は数か月後の国際会議の概要を書くことにした。締め切りは来週末であるが、こういうものは早く提出する方がよい。

11時20分ごろ、概要が形になる。先生に校正してもらおうと思ったが、先生は忙しく不在であった。そこで、4月中旬に締め切りの研究費関連の書類を書くことにした。

12時30分ごろ、書類作成を中断して実験の様子を見に行く。装置は安定しているが、相変わらずデータのノイズが大きく不明瞭である。 居室に戻ると助教の先生が「最近の疑問」の1つとして「測定の繰り返し時間が短い場合の核磁気緩和率の測定の妥当性」が気になるという話を修士課程の学生としていた。 これは計算問題であるので、さっそく考察してみる。

13時30分ごろ、ようやく問題が解ける。問題は単なる線形方程式に帰着するが、それまでに1時間も要してしまった。博士課程に進むとゼミの発表の担当もないので、計算能力が低下してしまったのであろうか。 気を取り直して、先生に計算結果と考察を述べる。「繰り返し時間が短い場合」でも、漠然と思っていたほど測定結果は変更を受けないようである。この結果を実験的にも確かめたい。

14時ごろ、普段よりも遅くに昼食をとる。食堂はこの時間帯は空いていて快適である。居室に戻って書類作成の続きを行う。「研究実施状況」には何を書けばよいのか。

15時30分ごろ、少し休憩。最近はこの時刻で疲れ始めて作業効率が低下する。少し運動不足かもしれない。その後、断続的に学部生から研究に関して質問を受ける。

18時ごろ、測定誤差が改善せず、やむなくこの温度での測定を断念する。1日分のマシンタイムが無駄になってしまった。希釈冷凍機の実験の困難さを改めて痛感する。 翌日の測定のために希釈冷凍機の循環を始めて最低温度(約0.1 K?)を目指す。調子が良ければ一晩で十分に冷えるはずである。

18時30分ごろ、多忙な教授の先生が戻ってくる。国際会議の概要の校正をお願いする。

19時ごろ、疲れたので帰宅しようとすると、助教の先生が再び居室にやってきて、「当研究室のwebサイトの充実化について」議論を始める。 「研究内容」の記事など増やすべしという結論に至った。私は「研究室の1日・1週間・1年」の1記事を担当することになり、本稿の執筆に至る。

19時30分ごろ、帰宅する。直前に早くも概要の校正結果が返ってきたが、修正は明日行おう。居室にはまだ多くのメンバーが残っている。

帰宅後は自炊の夕食をとって、入浴し、23時ごろに就寝する。

博士1年生C氏の場合

とある院生のミーティング生活。

【11時半】大学に来て昼食をとる。 今日は16時から実験状況やこれからの計画を教授と相談するミーティングがある。 その資料を作るために頑張って早起きした。

【12時】食事から戻ると、「今日のミーティングって18時になったん?」と助教の○氏から聞かれる。 メールを開いてみると、どうやら16時半から来客があるようだ。 「それでは18時からでお願いします」と返しておく。 これで2時間の余裕ができたのでのんびり準備できそう。 メールを開いたときに「6件も未読ある!」と驚いて叫ぶと、「6件かよ、学生はいいなぁ」と○氏がつぶやいた。 いったい○氏は毎日何件のメールを処理しているのか。

【14時頃?】ミーティングのために留学生や共同研究の成果もまとめないといけないが、 自分がやっていない実験結果をまとめるのは単なる作業に感じられてあまりおもしろくない。 気晴らしに後輩の就活の話を聞いたり、研究不正についてのe-Learningを受ける。 ついでにA氏から研究室の1日を書けと催促される。 B氏の1日は執筆を依頼した翌日には完成していたらしい。

【16時過ぎ】昼過ぎから教授とミーティングをしていた後輩が戻ってきた。 そろそろ来客が来る時間か。 ところがその後輩から驚きの報告を受ける。
後輩「Cさん、18時からのミーティングが今からになったらしいです」
私「いやいや、遅くするのはウェルカムやけど早くするのはダメだろ!」
後輩「(教授に)直接言ってきてください」
○氏「もともと16時やったやん。なんかお客さんが遅くなるみたい。」
私「資料できてない……」
一度上げてから落とすスタイルは本当にひどいと思う。 まあ今回は来年度の実験計画を練るのが主な目的だし、実験結果はまとまったところまででいーか。

【16時半】できたところまでの資料を印刷してミーティング開始。 今までは外国人の先輩と一緒に実験していたからミーティングが英語だったが、その先輩が卒業するので今日からは日本語で良さそう。 言いたいことが言えるって素晴らしい。

【18時】遅くなると言っていたお客様がいらっしゃったのでミーティング強制終了。 1時間半とは短いミーティングだった。 しかし来年度の予定はイマイチまとまらなかった。

【19時】アイスを食べながらA氏や後輩と今年度卒業する人の送別会をどうするとか居室の机が全部新しくなるらしいとか 机はどうでもいいからカーペットを新しくしてほしいとか最優先はソファーだとかこたつがほしいとかいろいろ話す。 アイスは冬に食べてもおいしい。 こたつがあればきっともっとおいしい。 居室にはオフィスグリコが設置されているので便利。

【20時】夜になったので夕食を食べて帰る。 日付が変わる前に帰るのは珍しい気がするが、今日は早朝に来たので許されるはず。 実験したい一日だった。 明日は論文についてのミーティングだ。