研究室の1週間

とあるセメスターの時間割を御覧ください。

授業は主に月曜、火曜の午前。木曜と金曜の午前にコロキウムとセミナーがあります。
それ以外の時間は研究をします。また、週1回のミーティングやTAの仕事もあります。

当研究室の(ほぼ)毎週行われるゼミなどについて紹介します。

固体量子物性ゼミナール

主に固体量子物性研究室のメンバーが参加するゼミナールです(他の研究室の方も参加できます)。毎週金曜日朝10時から12時まで行います。

固体量子物性ゼミナール。その週の担当者がレジュメを作ってきて教科書の内容を詳しく解説していきます。

毎年取り上げる本を決め、その本を、学生が持ち回りでレジュメを作って解説していきます。ただ単に教科書に書かれている内容を反復するのではなく、教科書には詳しく述べられていない式変形を解説したり、式の内容を噛み砕いて説明したり、簡単にしか触れられていない内容を論文等を読んで詳しく掘り下げたり、関連する内容の最新の動向を説明するなど、自分なりに教科書の内容を発展させて説明することが求められます。中には、レジュメを20ページ以上も作ってくる強者もいます。

近年取り上げた教科書は以下の通りです。

2022年度
佐藤憲昭 三宅和正「磁性と超伝導の物理-重い電子系の理解のために-」(名古屋大学出版会)
2021年度
楠瀬博明「スピンと軌道の電子論」(講談社)
2020年度
James F.Annett “Superconductivity, Superfluids, and Condensates”, Oxford UNIVESITY PRESS
2019年度
野村 健太郎、トポロジカル絶縁体・超伝導体(丸善出版)
2018年度
[前期] 山田一雄、大見哲巨「超流動」(培風館)
[後期] (1) P. A. Cox, “Transition Metal Oxides”, Oxford university press
[後期] (2) 犬井鉄郎、田辺行人、小野寺嘉孝「応用群論」(裳華房)
2017年度
Stephen Blundell “Magnetism in Condensed Matter”, Oxford university press
2016年度
J. R. Schrieffer “Theory of superconductivity”, Westview press
今野豊彦 “物質の対称性と群論”, 共立出版
2015年度
[前期] James F.Annett “Superconductivity, Superfluids, and Condensates”, Oxford UNIVESITY PRESS
2014年度
[前期] 安藤陽一 “Topological Insulator Materials”, Journal of the Physical Society of Japan 82 (2013) 102001
[後期] Anthony Leggett 「Fermi液体・非等方的超流動体・液体3Heの新しい相について(講義ノート)」
2013年度
S. Blundell “Magnetism in Condensed Matter” (Oxford university press)
2012年度
[前期] 家泰弘 “超伝導” (朝倉書店)
[後期] 望月和子/鈴木直 「固体の電子状態と磁性」(大学教育出版)
2011年度
M.Tinkham “Introduction to superconductivity” (Dover publications)
2010年度
A.J.Leggett “Quantum Liquids” (Oxford Graduate Texts)
2009年度
永宮健夫「磁性の理論」(吉岡書店)
2008年度
アブリコソフ「金属物理学の基礎(下)」(吉岡書店)
2007年度
安達健五「化合物磁性 遍歴電子系」(裳華房)
2006年度
山田一雄、大見哲巨「超流動」(培風館)
2005年度
斯波弘行「固体の電子論」(丸善)
2004年度
A. P. Ramirez, “Geometrical Frustration” in “Handbook of Magnetic Materials” 13, edited by K H. J. Bushchow.
2003年度
A. P. Mackenzie and Y. Maeno, “The superconductivity of Sr2RuO4 and the physics of spin-triplet pairing” Review of Modern Physics 75, 657 (2003)、など

コロキウム

木曜日朝10時から行われています(毎週ではない)。学生(時にはスタッフも)が持ちまわりで(大体1人1年に1回)、自分の興味の持っていることについて調べてきて発表します。近年は自分の研究に絡めた発表が多いようです。

コロキウム。その週の発表担当になった人が興味ある内容を調べてきて発表します。

コロキウム。その週の発表担当になった人が興味ある内容を調べてきて発表します。

このコロキウムの一番の特徴は英語発表であるということです。発表も議論も基本的には全て英語で行わなくてはなりません。特に初めの頃は準備にも発表にも非常に苦労しますが、国際学会で発表したりするようになると、コロキウムで苦労しておいてよかったと感じることも多くあります。

ゼミナールがどちらかというと基礎的な内容を取り上げるのに対し、コロキウムでは最新の研究状況が取り上げられることが多いため、研究会さながらの激しい議論が行われることも少なくありません。この議論を乗り切ることも、研究者の卵としては重要な経験の1つだと思います。

この日は黒板を使った議論に発展しました。

大学院の講義

大学院修士課程の講義は月曜や火曜日の午前中に行われることが多いです。寝過ごさないように注意しましょう。

大学院の講義は学部の講義に比べて最新の研究成果の説明にも重点が置かれているように思います。自分の研究分野だけでなく、他の分野の先生方の講義を聞くのも非常にためになります。

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