近年、U 系の重い電子系超伝導UTe2 が注目を集めています。それは、スピン三重項超伝
導が実現している数少ない物質だからです。UTe2 には数多くの魅力がありますが、その
うちの1 つが静水圧力による超伝導特性の変化です。
UTe 2に静水圧力をかけると、1.2GPa 程度の圧力で超伝導転移温度は最大値を取り約3
K 程度まで上昇します。その超伝導は常圧での超伝導とは特性が異なることが期待されて
おり、超伝導実現の条件等の解明が課題となっています。
本研究では、UTe2 に対して圧力下の核磁気共鳴測定を行い、圧力によってUTe2 の磁気状
態が大きく変化することを明らかにしました。また、そうしたなか、超伝導が見える領域
においてのみ近藤効果による「重い電子状態」が実現していることを明らかにしました。
このことはUTe2 の超伝導において重い電子状態が必要であることを支持しています。ま
た、こうした振る舞いはb 軸磁場下の振る舞いともよく似ているので、圧力と磁場が非常
に密接に関係していることもしてきました。
本成果は 2022 年 4 月 6 日に Physical Review B にオンライン掲載され、Editors’
Suggestion に選ばれました。
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.105.L140502