UTe2の本質的な磁気的性質(常伝導状態)

この論文では、超高純度のスピン三重項超伝導体UTe₂(うてて)単結晶を用いて、常伝導状態(超伝導になる前)の低温磁気特性を詳細に調べました。これまでの試料では、微量のウラン欠損が磁気特性に影響を及ぼす可能性が指摘されていましたが、今回の超高純度試料では、そのような影響が抑制されていることが明らかになりました。つまり、UTe₂の磁気特性はウラン欠損に非常に敏感であり、超高純度試料にはウラン欠損がほとんどないことが示唆されます。さらに、磁気異方性が大きく、a軸が磁気的に容易な軸であることから磁場方向を回転させた時の角度依存性が普通の物質と違うことが確認されました。これらの発見は、UTe₂の基礎的な物性理解や将来的な応用にとって重要です。

Reference

Matsumura, H; Kitagawa, S; Ogata, S; Matsubayashi, R; Fujibayashi, H; Kinjo, K; Ishida, K; Tokunaga, Y; Sakai, H; Kambe, S; Nakamura, A; Shimizu, Y; Homma, Y; Li, D; Honda, F; Miyake, A; Aoki, D

Intrinsic low-temperature magnetic properties on ultraclean UTe2 with Tc = 2.1 K revealed by 125Te NMR Journal Article

In: Physical Review B, vol. 111, pp. 094507, 2025.

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