2022年7月24日から29日までの6日間、オランダのアムステルダムにてInternational Conference on Strongly Correlated Electron Systems 2022 (以下SCES) が開催され、この日記の著者である金城(D3)、石田憲二教授の2人が口頭発表、堀(D1)、尾方(M2)の2人がポスター発表を行いました。
SCES2022
SCESは固体量子物性研究室の研究対象である強相関電子系についての世界最大規模の国際学会で、1年に1回開催されます。今回は上記の通り、オランダのアムステルダムにて行われました。過去のSCESには固体量子物性研究室からも数多くの研究者が参加しています。
2019年末に端を発するコロナ禍において、ほとんどの学会はオンライン開催となっていましたが、この度のSCESではオンサイトのみの思い切った開催で、久しぶりの対面学会ということでワクワクしていました。やっぱり学会は現地参加しないと!観光がてら参加できるのが国際学会のいいところです。
参加費は学生が345ユーロ、通常は595ユーロとなっており、まったくお財布には優しくありません。(もちろん、研究活動なので研究費から支払われますが、研究費も無限ではありません。)確かに会場はいいところでしたが、向こうの物価の高さにびっくりですね。また、まわりにはあまりレストランもないということで、毎日の昼食にランチバッグを出してくれたのですが、1食21ユーロでした。日本円に直すと約3000円です。ちなみに、普通の昼食でもこれくらいは普通です。日本の凋落ぶりを感じた瞬間でした。ホテルにおいても、日本のような6000円のビジネスホテルなんてものはなく、SCES運営のおすすめでは1泊2万円程度のホテルしかありませんでした。僕は1人で宿泊しましたが、後輩たちは2人部屋として宿泊してなんとか京大からの支給内におさめようとしていました。京大からの旅費は、(教授が苦労して取ってきた科研費を用いているのにもかかわらず!)事務が決めた上限までしか出ず、その値段は全く実情に合ったものとは言えません。具体的に言いますと、学生では宿泊13000円、日当4000円です。一度でいいのでこれで足を出さずに生活してほしいものです。ちなみに宿泊費には朝食代と夕食代が含まれているようです。学生はご飯を食べることも許されないのでしょうか。愚痴っぽくなりましたが、こうしたところも日本の研究者志望者が減る理由だと思います。
愚痴はここまでにして、SCESに話を戻しますと、国際学会ではよくある構成ですが、前日にはウェルカムレセプションがあり、次の日から午前のはじめは参加者全員が一堂に集まり、プレナリートークを聞く感じでスタートします。基本的には8:30-17:30程度のプログラムとなっていて、午後はゆっくりできます。特に、オランダは緯度が高いこともあり、21時ではまだ明るいです。日本は真夏ではありましたが、オランダでは最高気温が20度程度と涼しく、海外で研究するならオランダだな・・・と心に決めました。
国際学会に出るメリットの1つは、超有名人に会えることでしょう。今を時めくNi酸化物のHarold Hwangの顔を見れたことは思い出になるでしょう。研究発表に関しては、この研究室のメインターゲットであるUTe2のセッションが丸一日あったことからもその注目度が分かります。UTe2に関しては競合関係にある3チームからの参加があったことから、少しギスギスしたところもありましたが、僕個人としてはLos Alamosの研究者との交流機会を得られたことがメリットでした。
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