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人工超格子のNMR

超格子とは、2つ(またはそれ以上)の種類の結晶の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子より長くなった結晶のことを言います。近年、薄膜作成の技術向上により人工的に超格子を作成することができるようになり、特に、京都大学量子凝縮物性研究室が作成している重い電子系人工超格子は強い電子相間の制御を可能にしたという点で注目されています。

人工超格子では、それぞれの層(結晶)での物性の違いや、界面の状態、組み合わせの違いによる物性の変化を調べることが大変重要です。これらの測定を可能にする手法としてNMR測定が活躍します。以下にトピックスを一つ紹介します。

空間分解能をもつ核磁気共鳴法による重い電子系化合物と通常金属の界面状態

近年,重い電子系超伝導体CeCoIn5と通常金属YbCoIn5を交互に積層した人工超格子CeCoIn5/YbCoIn5が作製され(左図)、バルク体との電子状態の違いに興味が持たれています。 今回我々は微視的な測定手段である核磁気共鳴法をCeCoIn5/YbCoIn5超格子に適用し、Yb ブロック層(BL)とCe BLの電子状態を分けて調べることに成功しました(右図)。さらに,詳細なスペクトルの解析により、Ce BLの信号を界面近傍層と内部層に分け、それらの電子状態の違いについても明らかにしました。 本研究の手法は他の超格子においても応用可能と考えられ、 本研究の成果は超格子の研究においてもNMRが有効であることも意味しています。

人工超格子CeCoIn5/YbCoIn5の構造とNMRの結果