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ルテニウム酸化物超伝導体Sr2RuO4

基礎物性

Sr2RuO4は層状ペロブスカイト構造を持つTc = 1.5 Kの超伝導体で、銅酸化物高温超伝導体La2-xBaxCuO4と 同じ結晶構造を持ちます。RuO2面が電気伝導を担う2次元的な電子状態が特徴です(図1)。

Sr2RuO4の結晶構造。
図1: Sr2RuO4の結晶構造。

Sr2RuO4の超伝導が大きく着目されている理由の1つは、スピン三重項超伝導が実現している可能性があるためです。 スピン三重項超伝導状態では、一重項状態とは異なり、クーパー対がスピン自由度を持つことから、様々な興味深い現象が期待されています。 Sr2RuO4のスピン三重項超伝導の実験的な証拠としては、核磁気共鳴(NMR)のナイトシフトの実験などが挙げられます。 超伝導Sr2RuO4の対称性として現在提案されている有力な仮説の1つは,「カイラルスピン三重項状態」で,この状態ではクーパー対が 角運動量を持って時間反転対称性を破っています(図2)。

超伝導Sr2RuO4で提案されている「カイラルスピン三重項状態」の模式図。
        dベクトルがz方向を向き、クーパー対のスピンはxy面にある。
図2: 超伝導Sr2RuO4で提案されている「カイラルスピン三重項状態」の模式図。 中央の矢印がスピン三重項超伝導の秩序変数「dベクトル」を表す。

以下では当研究室で行っているSr2RuO4の研究をいくつか紹介します。

超伝導の一次相転移

一般に超伝導は磁場によって破壊されますが、その起源として,パウリ常磁性効果と第二種超伝導体の軌道対破壊効果の2つが知られています。 前者は超伝導状態でスピン磁化率が減少してスピン磁化のエネルギー利得が正常状態よりも小さくなることに起因し、この機構が優勢であれば低温では一次相転移で超伝導が破壊されます。 もしスピン磁化率が超伝導状態で減少しなければ、この機構は働きません。一方、後者の機構は常に存在し、これが優勢であれば二次相転移を示します。

Sr2RuO4の超伝導状態はab方向の磁場によって異常に強く超伝導が抑制されることが初期のころから知られていましたが、 純良な単結晶試料の測定で,この方向の磁場では低温で一次相転移で超伝導が破壊されることが明らかとなりました。 この性質はパウリ対破壊効果に特徴的ですが、この仮説は現在のスピン三重項対の仮説と整合しません。 スピン三重項対を支持するNMRナイトシフトの結果からはab方向の磁化率は超伝導状態で減少しないと考えられており、 これが事実であれば、この方向にパウリ常磁性効果は働き得ないからです。 したがって未知の対破壊効果がある可能性も議論されていますが、その詳細は理解されていません。 この問題は現在でも未解決であり、Sr2RuO4の超伝導の対称性の決定においてはもちろん、超伝導の普遍的な理解においても重要な課題であるといえます。

Sr2RuO4微小リングにおける半整数量子フラクソイド状態

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