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北川准教授が第18回(2024年)日本物理学会若手奨励賞 (領域8)を受賞しました。
久保理論を超えた量子サイズ効果の発見

久保理論を超えた量子サイズ効果の発見

ナノ粒子は量子サイズ効果による独自の物理的性質を示すと予測されていますが、その同定は依然として難しい...
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尾方司貴さん(D1)がポスター賞を受賞

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8/30-31に行われたアシンメトリ量子A01・A02 トピカルミーティングで尾方司貴さん(D1)が...
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尾方 司貴さんが学生優秀発表賞受賞

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2023年日本物理学会春季大会における講演「局所的に反転対称性の破れた超伝導体CeRh2As2におけ...
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SCES2023 in Incheon 出張報告

SCES2023 in Incheon 出張報告

2023年7月2日から7日までの6日間、韓国の仁川(インチョン)にてInternational Co...
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私たちは、固体中の電子が強く相互作用している強相関電子系を舞台とした多様な物性現象を研究しています。
室温よりはるかに低い温度では物質は量子統計力学的効果に支配され、超伝導に代表される日常感覚とはかけ離れた現象が起こります。このような現象の発見や理解を目指して主にNMR測定を中心として日々研究に励んでいます。

0.NMR(核磁気共鳴法)

NMRは原子核のスピンを用いて電子の状態を調べる測定手法で、微視的に電子状態、磁気状態を測定できるパワフルなツールです。私たちははNMRを用いて超伝導体から磁性体まで幅広い物質の電子状態の解明を目指しています。

1. UTe2:スピン自由度を活かした多彩な超伝導状態

2018年に発見されたスピン三重項超伝導体。
磁場、圧力で移り変わる多彩な超伝導状態から超伝導状態でもS=1のスピン自由度が存在すると考えられています。
私たちの研究室でもNMR測定からスピン自由度を使った新現象、超伝導スピン偏極を観測しています。

2.CeRh2As2:副格子の自由度による多重超伝導相

2021年に発見された超伝導体。
磁場に非常に強く、高磁場ではペア密度波状態(奇パリティスピン一重項状態)が実現すると予測されています。
NMR測定により
スピン磁化率の空間的な変調を示唆する結果を観測
②超伝導相内部の反強磁性秩序と超伝導多重相との相関を発見しました。

3.フラストレーション磁性体YbCuS2で現れる電気的中性な粒子

フラストレーションとはスピン(小さな磁石)が上手く整列できずに不安定になる現象です。
フラストレート磁性体では
・ 磁気相転移(隣り合うスピンが整列する現象)が抑制
・ 通常の磁性体(スピンをもつ物質)と異なる振る舞い
が期待されています。
私たちの研究室ではスピンをもつYb原子がジグザグ鎖をなすYbCuS2において絶縁体にも関わらず低温で金属的になることを発見しました。
これは電気的中性な粒子の存在を示唆しています。

4.トポロジカルラインノード物質で現れる電子状態

実空間の幾何(原子配置)が波数空間(電子運動)の非自明なトポロジーを誘起する物質をトポロジカル物質と呼びます。
私たちの研究室でもトポロジカルラインノード金属超伝導体CaSb2, 逆ペロブスカイト超伝導体Sr3-xSnOなどを研究しています。

トポロジカル物質における電子状態、および超伝導やその他の物理現象との関係解明を目指します。

5.強磁性超伝導体UCoGeの強磁性ゆらぎと超伝導の密接な関係

BCS超伝導では超伝導転移温度TSCと格子振動の間に関係式が成り立ちます。私たちは強磁性超伝導体UCoGeでもTSCと強磁性ゆらぎの間に普遍的な関係式が成り立つことを磁場角度、磁場、圧力変化の実験から解明しました。つまり、定量的な観点から超伝導と強磁性ゆらぎの関係を明らかにし、強磁性ゆらぎによるスピン三重項超伝導の可能性を指摘したことになります。

6.ナノ粒子で現れる量子サイズ効果 (久保効果)

ナノ粒子では、通常のバルクと異なる量子的なエネルギー準位の離散性が予言されています。これを量子サイズ効果、または久保効果といいます。私たちはNMR測定から低温で量子サイズ効果を確認しました。

7. 磁性と超伝導および量子臨界現象

磁気転移が絶対零度になる点、量子臨界点近傍では多くの面白い磁気状態や超伝導状態が現れます。
この量子臨界点近傍の物性解明も私たちの研究テーマの一つです。

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