課題研究Q4(卒業研究)「超伝導と磁性」

担当教員 石田憲二(5号館140号室)、北川俊作(5号館139号室)
ティーチング・アシスタント(TA) 1名

  • はじめに
  • スケジュール
  • セミナー
  • 実験内容
  • これまでのメンバーと卒業論文題目

はじめに

本課題研究では、超伝導やスピン秩序など、電子多体系の示す多彩な現象を研究します。

前期はBardeen-Cooper-Schrieffer (BCS) 理論など、超伝導の基礎を理解するためのセミナーが中心です。

後期は各自の研究テーマを選び、スピン三重項超伝導体をはじめ、多様な超伝導や磁気的性質を示す物質を合成し、低温での比熱、電気抵抗率、磁化率、核磁気共鳴(NMR)などの測定をもとに、それらの量子物性の理解をめざします。

いずれの場合でも、各自が「自分だけの卒論テーマ」に沿って研究することが出来ると同時に、 まだ誰にも答えが知られていない部分を含むテーマに挑戦します。 卒業研究の間に、少なくとも一度は「ヤッター!」と歓声をあげるような成果に出会ってもらえるのが目標です。

典型的なスケジュール

6月中旬ごろ小発表会
9月(院試終了後)実験スタート
12月下旬中間発表会
2月上旬最終発表会
2月12日ごろ卒業論文第1版提出締切

参考:2019年度スケジュール

2019年6月3日(月)小発表会
2019年9月(院試終了後)実験スタート
2019年12月23日(月)中間発表会
2020年2月10日(月)最終発表会
2020年2月13日(木)卒業論文第1版提出締切

セミナー

毎週のセミナーでは超伝導の教科書を用いて、超伝導の基本的性質、Bardeen-Cooper-Schrieffer (BCS) 理論、Ginzburg-Landau理論等を学びます。量子力学、統計熱力学、電磁気学の知識を総合的に活かした学習になります。

これまでに用いた教科書は以下のとおりです。

2023年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (森北出版, 2019).
[後期] 斯波弘行, “固体の電子論” (森北出版, 2019).
2022年度[前期] Steven H. Simon, “The Oxford Solid State Basics” (Oxford, 2013).
2021年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (森北出版, 2019).
[後期] 家泰弘, “超伝導” (朝倉書店,2005).
2020年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (森北出版, 2019).
[後期] 青木秀夫, “超伝導入門” 第2版 (裳華房, 2009).
2019年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
[後期] Stephen Blundell , “Magnetism in Condensed Matter” (Oxford, 2001).
2018年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
[後期] 上田和夫, “磁性入門” (裳華房, 2011).
2017年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
[後期] 上田和夫, “磁性入門” (裳華房, 2011).
2016年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
P. G. de Gennes, “Superconductivity of Metals and Alloys” revised ed. (Westview Press, 1999).
[後期] 青木秀夫, “超伝導入門” 第2版 (裳華房, 2009).
2015年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, “Introduction to Superconductivity” 2nd ed. (Dover Publications, Inc., 1996).
2014年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, “Introduction to Superconductivity” 2nd ed. (Dover Publications, Inc., 1996).
2013年度[前期] 斯波弘行, “固体の電子論” (和光システム研究所, 2010).
A. A. Abrikosov, “Fundamentals of the Theory of Metals” (North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals).
[後期] 家泰弘, “超伝導” (朝倉書店,2005).
2012年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2011年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2010年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2009年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2008年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2007年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2006年度M. Tinkham, “Introduction to Superconductivity” 2nd ed. (McGraw-Hill, 1975,1996).
2005年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善, 1996).
2004年度M. Tinkham, “Introduction to Superconductivity” 2nd ed. (McGraw-Hill, 1975,1996).
2003年度斯波弘行, “固体の電子論” (丸善,1996).
2002年度A. A. Abrikosov, “Fundamentals of the Theory of Metals” (North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals).
2001年度P. G. de Gennes, “Superconductivity of Metals and Alloys” (Addison-Wesley, 1966,1989).

実験内容

研究遂行にあたって試料合成にやや重点のあるテーマや、測定装置の製作にやや重点のあるテーマがあります。 最近のテーマの例は、スピン三重項超伝導の研究、トポロジカル絶縁体・超伝導体の研究、 重い電子系物質や鉄系超伝導体関連物質の研究などです。 いずれのテーマでも、超伝導や磁性体の最先端の研究にちょっと触れることができます。

試料合成では、赤外線加熱炉などを用いた単結晶育成、各種合成炉を用いた新物質合成の挑戦などを行います。

測定は液体ヘリウムを用いた低温実験が中心となります。装置としては、0.3 Kまで冷却できるヘリウム3冷凍機や10 mKまで冷却できるヘリウム3-ヘリウム4希釈冷凍機なども用います。 また、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた超高感度磁化測定装置や、ピエゾ素子を用いた試料回転装置などの製作を含むテーマもあります。 そして、電気抵抗率、磁化率、比熱、核磁気共鳴などの測定を通して、超伝導体や磁性体の多彩な量子物性を探ります。

これまでのメンバーと卒業論文題目

2023年度

大口 峻平磁性体の核磁気極共鳴、新測定手法開発
酒井 佑輔磁性体の核磁気極共鳴
酒井 葵生新奇超伝導体の核磁気極共鳴
松林 陸超伝導体の核磁気極共鳴
中西 宏介スピン三重項超伝導体の核磁気極共鳴

2022年度

井原 大志ナノ粒子の核磁気極共鳴
柴田 真咲超伝導体の核磁気極共鳴
松平 広康磁性体の核磁気極共鳴
能登 滉太磁性体の歪測定
矢野 翔太有機物超伝導体の比熱測定

2021年度

富川 幹也熱膨張率測定
松村 拓輝U系の核磁気極共鳴
木村 直博新装置開発
松宮 香子ナノ粒子の核磁気極共鳴

2020年度

藤林 裕己新奇超伝導体の核磁気極共鳴
小林 琢実f電子系の核磁気極共鳴
清末 俊紀新装置開発
福島 和実新装置開発

2019年度

小畑 慶人新超伝導体の探索
木下 雄大ナノ粒子の核磁気極共鳴
高橋 秀光核磁気共鳴/核四重極共鳴と電気抵抗の同時測定法の開発
矢田 歌菜絵Sr2RuO4の研究

2018年度

川口 真世新超伝導体の探索
木舩 茉悠重い電子系超伝導体の核四重極共鳴
谷口 諒新装置開発
松﨑 聡強磁性超伝導体の核磁気共鳴

2017年度

奥野 友則ナノ粒子の核磁気共鳴
金城 克樹Sr2RuO4の核四重極共鳴
高須賀 幸恵Ca2RuO4の金属絶縁体転移に関する実験
寺尾 奈浦強磁性超伝導体の核磁気共鳴
三好 拓人Sr2RuO4接合系の研究

2016年度

宍倉 愛Ca2RuO4の金属絶縁体転移に関する実験
諏訪 春輝Sr2RuO4の単結晶育成
米川 和志ナノ粒子の核磁気共鳴
桑山 昂典重い電子系反強磁性体の核四重極共鳴

2015年度

浦井 智崇59Co NQRを用いたU6Coの研究
岡本 賢志郎単結晶U6Coの59Co-NMRによる研究
國枝 正直SrRuO3/Sr2RuO4ハイブリッド構造でのスピン三重項超伝導体の近接効果
中田 勝比熱測定セルの開発

2014年度

池田 敦俊ルテニウム酸化物へのホールドープ
高木 亮一磁性体の合成及び磁気秩序の探索
田尻 兼悟トポロジカル超伝導体の比熱測定
成塚 政裕新奇物質測定にむけて 磁気抵抗測定用3He-4He希釈冷凍機の立ち上げ

2013年度

杉本 雄亮SrTiO3の電場誘起超伝導への酸素同位体置換効果
花岡 洋佑核磁気共鳴法を用いた鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)Oの物性研究
真砂 全宏209Bi-NMR/NQRを用いたBa2Bi3の研究
安井 勇気Sr2RuO4およびNb-μリングにおけるLittle-Parks振動

2012年度

新井 健司IrSe系のNMRを用いた研究
竹中 耕平電場誘起超伝導体の研究
柴田 大輔Thermal Hall effectの研究
杉本 大輔UCoGeのNQRを用いた研究

2011年度

川島 裕貴新奇超伝導体探索
下田 愛子鉄系超伝導体の合成と評価
立石 圭児重い電子系物質の合成
宮崎 慈生Sr2RuO4の微小試料の伝導特性

2010年度

梶川 知宏Sr2RuO4の熱測定
中村 昌幸新奇超伝導体探索
前川 紘紀鉄系超伝導体のNMR/NQRを用いた研究

2009年度

石川洵三角格子磁性体の輸送特性の研究
軽部皓介重い電子系化合物のNMR/NQRを用いた研究
柵木厚介鉄系超伝導物質のNMR/NQRを用いた研究
松坂純輝新奇超伝導物質探索

2008年度

谷口 晴香超伝導近接効果の研究
山岸 達哉酸化物に対する電場効果の研究
服部 泰佑NMR・NQRによる重い電子系超伝導の研究
池田 達哉NMRによるFe系超伝導体の研究

2007年度

北川 俊作導電性酸化物の設計と合成
中川 竜司Sr2RuO4の超伝導接合の作成と評価
岡本 純一NMRによる重い電子系超伝導の研究
山本 彗NMRによるFe系超伝導体の研究

2006年度

島居 宣博導電性酸化物の電子状態の研究
中村 壮智Granular Sr2RuO4におけるスピン三重項超伝導ネットワークの研究
林 優二郎NMRによる超伝導ギャップの研究
矢野 史朗Sr2RuO4における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性

2005年度

小野寺 真吾磁気熱量効果によるスピン三重項超伝導体Sr2RuO4の新しい超伝導相の検出
久我 健太郎重い電子系新物質の低温物性研究と超伝導探索
中村 秀司Sr2RuO4の単結晶育成の最適化と一軸圧による超伝導転移温度の変化
村主 崇行スピンアイスの磁気緩和シミュレーション

2004年度

大西 高史擬2次元Mott転移系Ca2-xSrxRuO4金属絶縁体転 移点近傍(x=0.2)の物性
加納 聖士常磁性塩CMNを用いた断熱消磁冷却 幾何学的フラストレーションを持つ系の測定に向けた熱スイッチとセルの評価
橘高 俊一郎Sr2RuO4-Ru共晶体における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性
久田 旭彦幾何学的フラストレーション磁性体関係
平野 大輔Co-NQRを用いたNaxCoO2·yH2Oの試料依存性の 研究

2003年度

鎌田 宗康幾何学的にフラストレートした磁性を持つモット絶縁体と金属絶縁体転移
殿村 宏史幾何学的フラストレーション磁性体関係
中井 祐介101Ru-NQRから見た不純物としての3K相とSr2RuO4-Ti, Ca系
弓削 達郎パイロクロア酸化物Dy2Ti2O7の残留エントロピーを利用 した磁気冷却
山下 真Sr2RuO4-Ru共晶系における3K相の転移温度

2002年度

井原 慶彦重い電子系物質YbCu5のCu-NMR-NQR
佐藤 功SQUIDを用いたSr2RuO4に対するc軸方向への一軸圧力による転移温度の変化の測定実験
佐藤 剛LaFe4P12のNMRによる研究
森本 隆之3K超伝導体Sr2RuO4-Ru共晶体の同位体効果
米澤 進吾Ag5Pb2O6の合成および物性測定

2001年度

北川 健太郎交流磁化率によるSr2RuO4の超伝導二段転移の試料依存性
坂井 修Pyrochlore型酸化物Dy2Zr2O7の低温物性
大屋 雄金属の水素導入における低温物性
Tran Thanh TrungAngle-Dependent Magnetoresistance Oscillation in OrganicSuperconductor β-(BDA-TTP)2SbF6
矢野 賢太郎パイロクロア酸化物Cd2Re2O7の超伝導

2000年度

東中 隆二Pyrochlore型酸化物Dy2Ti2O7の低温物性
山田 真弘水素化金属の超伝導
吉岡 正樹SQUIDを利用した高感度磁化測定装置による、Sr2RuO4-Ru共晶体の超伝導転移の観測
採田 祥治Sr2Ru1-xTixO4の面内・面間電気抵抗率
辻 幸秀Al2O3を絶縁体膜とする電場効果ドーピング

1999年度

鈴木 誠The effects of Coulomb interaction and impurity density to the localization length in one-dimentional electrons
柳島 大輝新物質Ln2Ir2O7Ln=Pr, Sm) の ‘Metallic Spin Ice’ 的物性
和田 将彦Tc=3Kの超伝導を示す新たなSr2RuO4-Ru 共晶体及び上部臨界磁場の角度依存性
久保 拓右SQUIDを用いたマイスナー効果の測定
西守 有人PdHxの超伝導

1998年度

神谷 聡高導電性ポリアセチレンに対する弱局在の理論の適用
出口 和彦SQUIDを利用した高感度磁化率測定装置による(BEDT-TTF)4Hg2.89Br8の 超伝導転移の観測
永井 修一Sr2RuO4の超伝導の一軸圧力効果
上藤 哲嗣有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2における Shubnikov-de Haas振動振幅の磁場方向依存性
岩本 孝昌不純物効果によるSr2RuO4の磁気秩序の誘起
大澤 直樹新層状遷移金属酸化物LnSr2-xLax(Ni, Zn)2RuO8(Ln=Sm,Eu, Gd) の合成及びその超伝導相の探索

1997年度

秋間 崇Sr2RuO4の超伝導パラメーター
野村 拓司超音波電磁波変換を用いたBi2Sr2CaCu2O8+δに おける磁束ピン止めの研究
深澤 英人Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張
南方 雅成Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張
安立 裕人角度依存磁気抵抗振動の解析によるSr2RuO4のFermi面の測定
仁張 茂樹断熱法比熱測定装置の製作とSr2RuO4の比熱測定

1996年度

石原 博史有機超伝導関係
金 海永Mott絶縁体Ca2RuO4の置換による金属化の試み
下城 義朗有機超伝導関係
武田 輝久Sr2RuO4のMeissner効果

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