2025年7月29日から8月2日まで、滋賀県の白浜荘にて「第70回物性若手夏の学校」が開催されました。
研究室からは大学院生5名が参加しました。
今回の物性若手夏の学校(以下、夏学)には、全国から約250名の学生が集まり、5日間、物性物理の講義・集中ゼミ・分科会発表・ポスターセッションなど多彩なプログラムが行われました。
今回の夏学のテーマは「非自明」ということで、夏学を通してどんな「非自明」な経験を持ち帰ることができたのでしょうか?

グループセミナー
開校式の直後に行われたグループセミナーでは、4人1組でテーブルを囲み、各自が30分間自身の研究について発表しました。私のグループでは、理論系が2人、化学寄りで物質合成の研究を行う方が1人という構成で、異なる分野の話が聞くことができ、非常に刺激的でした。
分科会発表
2日目には、分科会にて口頭発表を行いました。形式としては学会と同様でしたが、聴衆も同世代の学生が多く、比較的リラックスした雰囲気の中で発表できました。秋の学会に向けた良い練習の機会にもなりました。自分の発表後には、知り合いの理論系の学生の発表を聴きに行きました。発表内容もさることながら、「非自明」というテーマを上手に取り入れた堂々としたプレゼンテーションで、非常に印象的でした。
ポスターセッション
台風が最終日に関東を直撃するという予報を受け、ポスターセッションは3日目に前倒しして実施されました。午前は名古屋より東、午後は名古屋以西の参加者が発表を行う形となりました。発表者数が非常に多く、発表中は声を張り上げての説明・議論が続いたため、終わる頃にはエネルギーを使い切った感覚がありましたが、そのぶん得るものも多くありました。博士課程から学部生まで、幅広い方々にご来場いただき、理論・実験問わずさまざまな視点から議論を深めることができたのは、大変有意義でした。
午前中に見学した際の印象では、参加者の中では理論系の発表が比較的多かったように思います。

講義
3時間×3日間にわたる講義では、名古屋工業大学の大原繁男教授による「結晶の対称性と物性」を聴講しました。「『非自明』という概念を理解するには、まず『自明』とは何かを正しく認識する必要がある」という趣旨のもと企画された講義で、内容の一部は学部講義でも耳にしたことがあるものでしたが、よくある誤解を踏まえつつ、初歩的な具体例から丁寧かつ体系的に解説していただき、大変聞き応えのある講義でした。
集中ゼミ
実験系の北海道大学の松永悟明准教授による「低次元導体の電子物性」と、東北大学の好田誠教授による「半導体の永久スピン旋回状態とその応用」の2講義を受講しました。
前者では、有機物を対象としたNMRについての話題を通して、低次元導体の興味深い性質に触れることができました。後者では、スピン軌道相互作用に関する基礎的な概念から応用に至るまでの流れを学ぶことができ、大変勉強になりました。
懇親会
夏学のもう一つの目玉は、毎晩開催される懇親会です。
今年は昨年とは異なり立食形式で開催され、個人的には、昨年の形式よりも他の参加者と打ち解けやすい雰囲気だったと感じました。講義やゼミでお世話になった先生方とも、直接お話する機会に恵まれました。3日目と4日目には琵琶湖の湖畔で花火も楽しみ、参加者どうしで語り合いながら、学生ならではの楽しい夜を過ごしました。


宿など
夜は5~12人で1部屋での宿泊でした。修学旅行のような雰囲気で、お互いの進路や研究のことを話せて楽しかったです。







おわりに
今回の夏学では、以前よりレクリエーション等を通じて親交のある奈良女子大学の皆さんが運営メンバーとして参加されていました。台風によるスケジュール変更などがある中、深夜まで尽力してくださったおかげで、安心して充実した5日間を過ごすことができました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。